日本はゼロ成長でも充分やっていける

例えば50年後の日本人口を参照すると2055年の日本の人口は8993万人で2005年の1億2777万人に30%減になる。この間、日本がゼロ成長続けても1人当たりのGDPは43%も増える計算になる。ほぼ年1%近い成長だ。
なぜ上げ潮派と呼ばれる成長戦略が破綻したのかと言えば、無理矢理成長しないと日本が駄目になるという漠然とした強迫観念だろう。それが円安政策、諸悪の根源日銀超低金利政策という無理矢理の具体化だろう。おかげで欧米が2004年から2007年にかけて10回以上利上げしたのに日本だけ利上げせず円キャリーバブルを世界中にバラマキをした。アメリカ発世界金融危機というのは実は嘘で実際には日銀初世界金融バブルが発端だ。
欧米の金融政策当局はバブルを必死に食い止めようと躍起だったが、全く効かなかったのは「金利差の罠」だ。欧米当局が良かれと思って利上げしても、日本vs.欧米の金利差が開く結果になり、金利差がますます開けば開くほど円キャリーの妙味が大きくなる。よって金融引き締めしたつもりがますますバブルを加速させるというパラドックスに陥った。言わば国際金融版合成の誤謬だ。
つまり、今回の世界金融危機は元をたどれば極めて単純で、日本の無意味な上げ潮戦略ということになる。証券化商品などは真因ではなく文字通り派生的なブースターでしかなく、本体ではない。
結局欧米が自壊するまでバブルは解消しなかった。日本が被害に遭うのは当然で、元をたどれば日本が原因なのだから円安バブルに浮かれていた輸出企業が祟られて当たり前だ。
では、内需不振、消費不振をどうすればいいかとまたまた麻生太郎首相が盛大なバラマキをしようとしているが、これも無駄に終わる。そもそも、内需拡大個人消費拡大など今の日本では有り得ない。日本の人口構成比が高齢者にシフトすれば1人当たりの個人消費が減退するのは当たり前なのだ。高齢者になればなるほど消費は必要でなくなってくる。年寄りに「もっと食え、もっと食って日本を元気にしよう」と言っているようなものだ。成人病増加促進政策のようなものだ。元気どころか病気になる。その癖、メタボ対策として85センチ基準なるものを作って無意味な大衆薬、サプリメント消費拡大策をしている。
人口が減り、高齢者が増えるのだから道路など必要がなくなり自動車の販売も減るのも理の当然。それを無理して造ろうとするから失敗する。また高齢者増加もそのうちピークになり、社会保障費も無理して削る必要もなくなる。むしろアホなことに投資しなければ余裕で増やせる。
今になって派遣切りと大騒ぎしているけれど、派遣の最大のライバルはいまや中国人など海外からの出稼ぎ労働者だ。ロシアでは来年、中央アジアからの出稼ぎ労働者を半減するとプーチン首相は言明したが、日本では海外出稼ぎ労働者を半減させるなんて外交上不可能。しかし、それも心配することはない。中国は今でも成長中なので、そのうち出稼ぎ労働者の流入も収まる。
そもそも日本の若年者の人口は減っているのだから雇用問題は諸外国に比べて大した問題じゃない。現実に失業率は大して上がっていない。そのうちあっという間に人手不足になるだろう。
結論的に言えば、日本はパニックになって再び「成長。成長」と叫ぶ必要はないということだ。ようやく不当な円安から円高になり、日本の購買力は飛躍的に増えた。日本は依然としてお金持ちの余裕のある経済大国。そのうちGDPで中国に抜かれ世界第二位のGDP大国の座から転落とまた大騒ぎになるだろうが、こんなことどうでも良過ぎることだ。むしろ、これまで世界第二位のGDP大国だという自覚がなさ過ぎていつもおどおどしていたことが世界金融危機の淵源になったとさえ言える。大英帝国イギリスが日本に抜かれてパニックになったんだろうか。日本はゼロ成長でも充分にやっていける余裕があるのだから衰亡する日本など戯言でしかない。
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