ノン子36歳 (家事手伝い)

nonko公式サイト。熊切和嘉監督、坂井真紀、星野源鶴見辰吾津田寛治、佐藤仁美、宇都宮雅代、新田恵利、斉木しげる。挫折した女優の出戻り娘ノン子(ノブ子、坂井真紀)(写真右)とTシャツだけのチェ・ゲバラ(実名マサル星野源)(左)が日本の片田舎の町で革命の反乱を起こし、挫折する物語。
ノン子は何とはなしに三島由紀夫愛の渇き」の悦子を彷彿させる。チェは三郎か。少し頼りなげだけれど。
共同体の象徴の神社の娘なのに完全に共同体から浮いてしまっているノン子。両親がまた判で押した様な機械的に共同体の規範通りに行動するような人物。完全に共同体の慣習に固まってしまったような世界の住人だ。というよりも共同体の形骸化の権化のような存在として表現されている。
そこに異邦人として香具師の真似事のようなことをしにいつの間にか居候したチェ。チェは世界革命を根拠なくボンヤリ夢見ている。本当はただ何となく「世界に出たい」というだけのTシャツ革命家なのだが。
2人は完全に周囲から浮いているし、要するに事実上ほっとかれている。実は2人も脱共同体の形骸化の権化だ。形骸化した希望と形骸化したセックス。この状況を打破するのは高木の枝に結ばれたおみくじでもなく、暴力的な電動ノコギリだ。
神社の祭りの時に反乱が起きる。それを予兆するかのような雛の反乱。やぐらが崩壊するシーンにたどり着くまで、2人も観客もストレスたまり放しだったのだが、たまりにたまったストレスは一気に暴発する。ある意味観客参加型映画だ。雛のピヨピヨの鳴き声の喧しさと電動ノコのけたたましさが形骸化した町につんざく様はカタルシスを誘う。
再び1人なったノン子が夏の盛りに見出すのは、あの形骸化した革命家の置き土産。光輝く夏の静寂が全てを無に帰するようなラスト。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 映画ブログへ