永遠のこどもたち

eienkodomo公式サイト。原題:EL ORFANATO、英語タイトル:THE ORPHANAGE(孤児院) J・A・バヨナ監督、ベレン・ルエダ、フェルナンド・カヨ、ロジェール・プリンセプ、ジェラルディン・チャップリン、マベル・リベラ。「永遠」と言えば「死」の言い換えというのが相場で、「死」を覚悟して観なければならない。
海岸近くの孤児院で育てられたラウラ(ベレン・ルエダ)は引き取られて友達と別れる。30年経って37歳になったラウラはエイズ感染した養子シモン(ロジェール・プリンセプ)と夫カルロス(フェルナンド・カヨ)とともに廃墟になった孤児院を再建して障害者施設にしょうとする。
海岸にあった灯台はかつての光を放たなくなり、今は「見えない光」で自分たちを守っているとシモンに教える。そう、もう過去は戻らない。ラウラは何と置時計を裏返して室内灯(月光だったかも)を反射させてガラス窓に光をあて、あたかも灯台が光っているかのようにシモンに見せる。時間の経過を象徴する置時計を裏返すというのは芸が細かい。
もう一つの鍵になるのは、海岸の洞窟。シモンが見えない子供たちと会話し、やがて行方不明になる場所。そして、実は元孤児院の建物にも「洞窟」があることが明らかになる。
ポルターガイスト風オカルトホラーの色彩が強いけれど、ラストではホラーの要素は全て吹っ飛び、ラウラ自身が「永遠のこども」だということが明らかになる感動が素晴らしい。恐らく現実には友達は死んでいないのだろう。死んだのは子供でなくなったという意味で、現実に適応できないラウラの悲劇の反映だろう。子供たちは皆、砂袋に埋められて死んでいたのは皆で遊びに入った洞窟の思い出だからだろう。障害者施設というのも、実はラウラが「永遠のこどもたち」を集めて一緒に暮らすための場所造りだったということになる。
もっと露骨に言えば、これは母子心中事件で、あの醜い顔の子供トマスは、シモンの死体だろう。生きられる見込みのないシモンを不憫に思ったラウラに殺されたに違いないのだ。
シモンこそがラウラの水先案内人、「灯台」だったのだ。その案内された先は「永遠」。「永遠のこどもたち」に会うには自らが「永遠」にならなければならない。
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