都市生活者の温暖化ガス排出が少ないカラクリ

温暖化ニュース:都市生活者一人当たりの温室効果ガス排出量は驚くほど少ない 英国の民間研究機関である、国際環境開発研究所(IIED)は3月23日、都市生活者が排出している温室効果ガスは、その国の全国平均よりもはるかに少ないとする調査報告を発表した。
けれど、
現在の計算では、製造業における排出量が、最終製品の販売・消費が行われる場所ではなく、生産が行われている国の排出にカウントされている点も指摘している。
とある。(英語原文)
英語では、
The paper points out that emissions from manufacturing are currently allocated to the countries in which these greenhouse gases are produced, rather than to the locations in which the finished products are purchased and used.
Dodman adds that wealth need not imply pollution and that rather than blaming cities for climate change, policymakers should see well-planned and effectively governed cities as potential solutions.

この論文の趣旨から言えば、消費地の都市生活者よりもエネルギー集約型の工場がある工業都市とか新興工業国の方に排出源がカウントされているということだろう。
日本でも、二酸化炭素を大量に排出する工場は大都市よりも地方都市に多い。論文の趣旨から見て「都市生活者」とは「大都会生活者」が適切な理解だろう。同じ「都市」でも大工場のある地方都市なら一気に1人当たり排出量が高くなるはずだ。日本に至ってはいまや市町村合併でほとんどが名目上「都市生活者」になってしまったから尚更だろう。
確かに車の場合、面積あたりの車の数は東京が多いのだろうが、車二台持っている世帯は地方が多いし、1台あたりの走行距離も、バスや電車がない分、東京よりはるかに長いはずだ。地方の大きな家に住むより都会の小さなマンション暮らしの方が冷暖房などに使う光熱費も少なくて済むだろう。
しかし、この論文は自ら認めているようにほとんど意味がない。生産物が実際に消費される場所ベースで排出量をカウントすれば、圧倒的に大都会生活者の1人当たり排出量は多くなる。地方で暮らす方がフードマイレージははるかに少なくて済む。そもそも日本の場合、食糧もその他も輸入品が多く、排出源の大部分は既に新興国に下請けに出しているのが現状だからまうます意味がない。
このことはよく言われるGDP単位あたりの排出量が少ないことと共通のカラクリがある。1人当たりGDPの高い国はエネルギー集約型産業を新興国に下請けさせているのだから。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 経済ブログへ