誤訳に基づいた池田信夫「太陽活動は弱まっている」

SpaceWeather.com:Spotless Daysより。

前世紀からのspotless daysのベスト10として1911年から1913年まで連続して入っている。続いて2007年、2008年が連続ベスト10入り。2009年も3月末現在、87%がspotlessなので、ベスト10入りは濃厚だろう。約100年ぶりの黒点減少期になりそうだ。
ところで、池田信夫blog:太陽活動は弱まっているだが

地球温暖化の唯一の原因は太陽の輻射熱だから、太陽活動が弱まれば、温室効果ガスがどうなろうと地球は寒冷化する。そして2008年から太陽活動は弱まるサイクルに入り、そのエネルギーは1928年以来最低の水準になる、とNew Scientistは予測している。

あたかもリンク先のNew Scientistが「地球温暖化の唯一の原因は太陽の輻射熱だから、太陽活動が弱まれば、温室効果ガスがどうなろうと地球は寒冷化する」と言っているような錯覚を起こしてしまう。けれど、原文にはそんなことは何も書かれておらず、池田氏本人の独断に過ぎないことが分かる。ご本人は煽っているつもりなのだろうが、そもそも池田さんが無邪気にコピペして貼っている写真、実は今年5月初めに見られた回復の兆候を思わせるフレア爆発を示した写真で、「太陽活動は弱まっている」ことを示す写真ではない
後半の部分も実質誤訳だ。実際にNew Scientistが書いているのは、

'Ready to burst out'
"There's a lot of indicators that Cycle 24 is ready to burst out," panel chair Doug Biesecker of the National Oceanic and Atmospheric Administration Space Weather Prediction Center in Boulder, Colorado, told reporters on Friday.
The panel now expects the sun's activity will peak about a year late, in May 2013, when it will boast an average of 90 sunspots per day. That is below average for solar cycles, making the coming peak the weakest since 1928, when an average of 78 sunspots was seen daily.

sunspotgraph池田さんは「2008年から太陽活動は弱まるサイクルに入り、そのエネルギーは1928年以来最低の水準になる」と書いているが、話は全く逆だ。専門科学者パネルは2008年3月に太陽活動がボトムになると当初予測していたが、ボトムを同年12月に修正し、Cycle 24と名づけられた新しい活動期に入り、次の活動のピークは従来の予想より1年ほど遅れて2013年5月にずれ込むだろうと予測している。その年の日平均黒点数は90ほどで、1928年以来の低水準になるということだ。
つまり、これから2013年まで太陽活動は強まると予測しているのだ。ただ、2013年のピークは1928年以来の最も少ないピークの黒点数になるだろうということ。あくまでピークとしては1928年以来最低ということだ。これからどんどん太陽活動が弱くなるなどとはどこにも書かれていない。
これは、上のグラフでも分かるように、絶えず増減を繰り返す黒点数の変動に過ぎない。黒点数で地球温暖化が決まるのなら、実際に気温グラフもこれに合わせて激しく乱高下を繰り返しているはずだが、残念ながらそうはなっていない。池田氏は恣意的に都合よく英文をつまみ食いする前科はあるが、今回はそのつまみ食いもお粗末な誤訳なのだから、やれやれ、だ。
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