タリバンの資金源がヘロインとされることの謎

これまでの常識として、アフガニスタンではタリバンが支配する以前はヘロインの原料となるケシの大量栽培地だったが、タリバン支配下になった後、タリバンはケシ栽培を禁止し、ケシ栽培は10分の1に激減したと理解していた。そして、2001年の米軍によるアフガン掃討作戦でタリバンが打倒された後、再びケシ栽培が復活しているというのがこれまでの理解だった。ところが、ターリバーン・麻薬問題@wikiでは、

アフガニスタンでは、麻薬の原料になるケシの栽培が伝統的に盛んだった。ターリバーンは、1997年終盤にケシ栽培を禁止したものの効力を得ず、2000年までには、アフガニスタン産のケシは、世界の75%に達した。2000年7月27日に再びケシ栽培禁止の法令を出し、国連の調査によれば、ナンガルハル州では12,600エーカーあったケシ畑がターリバーンによって破壊され、17エーカー(以前の0.14%)にまで減少するなどした。
こうした幾度かの禁止令にも関わらず、ターリバーンは実際にはアヘン栽培を積極的に容認したものと考えられている。2001年の国連麻薬取り締まり計画や1999年のウズベキスタンタジキスタンの報告によれば、ターリバーンの支配地域が広がるにつれ周辺諸国への密輸量は跳ね上がり、隣国のパキスタンでは1979年に皆無だった麻薬中毒者が1999年には500万人に達した。イランでは同時期120万人のアヘン中毒患者が報告された。
アフガニスタンを根源にする麻薬汚染の拡大に国際的な非難が相次ぐ中、ターリバーンは、麻薬使用への死刑適用、生産地でのケシ栽培の取り締まり等、麻薬を取り締まるかのような姿勢を演出した。
しかしながら、生産量を減らしたとはいえヘロインはターリバーンが支配するただひとつの工場のみで生産が継続され、またケシ栽培の削減開始後も2,800トンに上るアヘン在庫は維持され、出荷が停止することはなかった。このため2000年12月の安全保障理事会決議1333では、ターリバーン政権にアヘン製造を禁止する要請が出されている。
麻薬追放・減産の形を取りながら、生産や輸出そのものの停止には至らず、むしろ麻薬類の国家管理が厳格化されたことを如実に示すこれらの事実により、ターリバーンによる2000年の麻薬禁止令は、実質としては当時供給過剰により下落傾向を見せていたアヘン相場に歯止めを掛けるための一時的な出荷停止措置であったと見られる。
この価格統制政策はターリバーン政権が崩壊した事で崩れ、北部同盟の掌握地域では各軍閥が自派の資金源として、または貧農が生活のためにケシ栽培を再開するケースが続出した。この為に生産量は再び激増、GDPの50%に相当する産業となっている。これは2005年では全世界の87%に当たる生産量である。
アフガニスタン新政府はケシからの転作を進めており、2008年には前年に比べてケシ畑の耕作面積を19%減少させた。しかしアフガニスタンのケシ畑はターリバーンの勢力が強いヘルマンド州に全体の3分の2が集中しており、ターリバーンの資金源となっていると見られている。またアヘン生産者が国内の混乱を継続させるためにターリバーンに献金を行っているという指摘もある。

要するにタリバンがケシ栽培を禁止したのは、「価格統制策」のためだというのだが、価格統制のために生産量を100分の1だの1000分の1にするバカなど存在するとは思えない。供給を1000分の1にして価格が1000倍になればOKなのかもしれないが、そんな値段で買える人間は限られているから、どう考えても損をする。値崩れを防ぐためならせいぜい1割原産だろう。どう考えてもおかしい解釈だ。
また、タリバンが掃討されてからなぜ増えたのかの説明もなく、現在のアフガニスタン政府がケシからの転作を進めているというのも分からない。ケシ栽培を禁止していないのははなぜだろうか。現在、ケシが栽培されているのはタリバンの勢力が強い地域とされ、全てタリバンに責任が押し付けられている印象が強い。
一方の英語版のTaliban Opium@wikiでは、

In 2000, Afghanistan's opium production still accounted for 75% of the world's supply. On 27 July 2000, the Taliban again issued a decree banning opium poppy cultivation. According to opioids.com, by February 2001, production had been reduced from 12,600 acres (51 km2) to only 17 acres (7 ha). When the Taliban entered north Waziristan in 2003 they immediately banned poppy cultivation and punished those who sold it.
Another source claims opium production was cut back by the Taliban not to prevent its use but to shore up its price, and thus increase the income of poppy farmers and revenue of Afghan tax collectors.
The official verdict of the Taliban however was otherwise. Mullah Amir Mohammed Haqqani, the Taliban's top drug official in Nangarhar, said the ban would remain regardless of whether the Taliban received aid or international recognition. "It is our decree that there will be no poppy cultivation. It is banned forever in this country," he said. "Whether we get assistance or not, poppy growing will never be allowed again in our country."
However, with the 2001 US/Northern Alliance expulsion of the Taliban, opium cultivation has increased in the southern provinces liberated from the Taliban control, and by 2005 production was 87% of the world's opium supply, rising to 90% in 2006.

とあり、ケシ栽培がタリバンの支配から解放された地域で増えていると言及されている。
元々タリバン以前からケシ栽培は盛んだったわけで、全てタリバンのせいにするのは無理がありすぎる。まして、これが「テロの資金源」なら、タリバン以前から資金源になっていることになる。一説にはヘロイン精製工場はタリバンが支配する地域にただ一つだけあるとされるが、そこまで分かっているなら唯一の工場を爆撃しておしまいだろう。まことに摩訶不思議だ。
英語版はともかく日本語版はなぜこんな意味不明瞭なタリバン悪しの一方的解釈になるのか。邪推すれば、自衛隊インド洋派遣・インド洋派遣の意義と関連しているのかと。

インド洋上を通過するテロ組織による人・モノの流れを遮断し[2]、なおかつ相互の連携を阻害することにより参加各国内等におけるテロ行為を未然に防止する効果が見込まれる。また、タリバンはその実効支配するアフガニスタンの一部地域においてアヘンの栽培やそれを基に製造したヘロインを密売し資金源としている。これらの麻薬はパキスタンを経由してインド洋を渡り、ソマリア・イエメンなどアラビア半島や東アフリカ沿岸国に上陸し、他のアフリカ諸国やアラブ諸国を経由してヨーロッパ各国に流入している。

洋上給油を意義付けるためにタリバン悪玉にしたいらしい。しかし、海洋警備は8年前から行われているのになぜヘロイン輸出が増えているかも謎だ。別の陸上ルートなら海洋警備の意義が薄まるとでもいうのだろうか。民主党自衛隊海上給油を違憲としていたが、少しゆらぎ始めている。(47NEWS)

民主党岡田克也幹事長は24日の記者会見で、海上自衛隊のインド洋での給油活動に関し「『何が何でも反対』ではない。そもそも民主党は国会承認さえ入れば賛成するという考え方だった」と述べ、衆院選で政権を獲得した場合、活動の根拠の新テロ対策特別措置法延長に含みを残した。同法の期限切れは来年1月。
 小沢一郎代表代行が代表当時に給油活動を「憲法違反」と断じたことについては「党としての正式な議論ではない」と述べた。

しかし、違憲であろうが、合憲であろうが、そもそもアフガン国内自体がワケワカメで誰が犯人なのか分からないのが現状だろう。例の「大量破壊兵器」同様、麻薬の海上輸送自体が幻のとうに思えてくるのだ。
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