池田信夫氏のゴチャマゼ電気自動車理解

自動車は「走るパソコン」になるのか?文● 池田信夫(ASCII)

今のところ、ハイブリッド車がようやく実用化したばかりで、電気自動車は速度も走行距離もガソリンにはとてもかなわない。しかしこれは電池の限界で、ガソリンスタンドのように充電できるプラグイン型の電気自動車ができれば、性能も経済性も格段に上がることが期待できる。また充電された自動車は、家庭の電源にも使える。
これは自動車技術だけの問題ではなく、社会のインフラ全体をガソリンから電気に変える大転換である。現在の電力ネットワークでは、電力会社の契約者以外に送電することはできないので、ガソリンスタンドのような場所で「公衆送電」はできない。技術的にも、不特定多数に送電することによって電圧が不安定になるなど、多くのリスクが考えられるので、電力会社はプラグイン電気自動車には乗り気ではない。

このくだり読んで、池田信夫さんって、電気自動車の基礎知識すら知らないんじゃないかと疑わざるを得ない。一般に言われる電気自動車は全部プラグイン式でしょ。でないと、どこから充電するんだよ?
特に、

電気自動車は速度も走行距離もガソリンにはとてもかなわない。しかしこれは電池の限界で、ガソリンスタンドのように充電できるプラグイン型の電気自動車ができれば、性能も経済性も格段に上がることが期待できる。

なんて個所、素直に取れば池田さんはプラグインでない電気自動車が存在していて、それが現在の主流で、そのタイプは電池が切れるたびに電池を取り替えるような仕組みであるかのようだ。
そんな電気自動車なんて聞いたことない。今メーカーが作っている電気自動車は全部プラグイン方式ですよ。そもそもプラグインで電気を補充しても走行距離が上がるわけないじゃないか。問題はプラグインのインフラがまだ整っていないというだけの話なわけで。
どうも池田さんはプラグインハイブリッドカーゴチャマゼに理解しているようだ。
ご本人のブログ池田信夫blog:オバマのグリーン・ニューディールでは、

プラグイン・ハイブリッド電気自動車

なんて文字通りハイブリッドな表記もあるから、多分そうなのだろう。

確かに電気自動車とハイブリッドカーの中間形態のプラグインハイブリッドカーなら走行距離も長くなるし、見かけの燃費も良くなる。ただし、走行距離が長くなるのはプラグインのおかげではなく、いざとなればガソリンエンジン使えるからだ。
けれど、次のくだりと決定的に矛盾する。

現在の乗用車は2万点以上の部品からなる複雑な機械だが、エンジンやトランスミッションの必要ない電気自動車は、数百の部品を組み立てるだけでよい。部品が標準化されれば、パソコンのように部品を秋葉原で買ってきて消費者が組み立てることもできるようになり、「すり合わせ」の優位性は失われる。

プラグインハイブリッドカーガソリンエンジンもモーターも、そして必然的にガソリンタンクも電池も積んでいて、しかもガソリン取入口もプラグイン、つまりコンセントも取り付けなければならない。
普通のガソリン車よりもっと複雑で部品が多くなるだろが!
一般にプラグインハイブリッドカーの位置づけはハイブリッドカーから電気自動車(もちろんプラグイン式)へのつなぎ役というもの。電力充電スタンドが普及するまでのつなぎ役なのだ。いちいち電池切れるたびに見も知らない民家にお邪魔して「すみません、電気分けてもらえますか」なんて言えないだろう。
そもそも、

技術的にも、不特定多数に送電することによって電圧が不安定になるなど、多くのリスクが考えられるので、電力会社はプラグイン電気自動車には乗り気ではない。

というのも奇妙な話だ。
つい最近の記事で、
日産など4社、電気自動車普及へ急速充電器協議会設立を発表(日経)

電気自動車(EV)の開発や販売に力を入れる日産自動車三菱自動車富士重工業の3社と東京電力は5日、EV普及に欠かせない急速充電設備の整備で協力すると正式発表した。EVの普及には充電インフラの整備が欠かせない。4社はインフラ整備に向けた具体策を探り、EVの普及を後押しする。

とある。電力会社の東京電力は主だった電気自動車メーカーと協力体制が整ったばかりの時になんで?
これも所謂「逆池田信夫効果」あるいは「逆イケノブ効果」の一つなのだろうか。
大体、電気自動車にプラグインで電気補充するのは送電というよりも普通の電力消費だろ。携帯電話充電するのを送電と呼ぶだろうか?じゃあ不特定多数の家庭や事業所でエアコンつけても電力が不安定になるはずだが、あいにくそんな話滅多に聞かない。真夏のピーク時にあるかないかぐらいだろう。そりゃ発電量以上に消費すればパンクするわな。まして急速充電なんてしたら・・・。
これも、恐らく家庭などでの太陽電池の売電とゴチャマゼに理解されている気がする。
それから、

電気自動車は部品がモジュール化されて数百になるので(池田信夫blog)

と、

現在の乗用車は2万点以上の部品からなる複雑な機械(ASCII)

というのも、
単位がゴチャマゼになってませんか?
電気自動車になった途端、部品が従来の100分の1くらいにになるなんてこと有り得ないだろう。モジュールが数百になるだけで部品が数百になるわけじゃないだろうが。
はっきり言って数百のモジュールを組み立てて自分で自家用車作るなんて余程の例外的なカーマニア以外想定できないと思うのだが。パソコンでクラッシュなら命取られないけれど自動車が走行中に分解してクラッシュしたら下手すれば事故死しまっせ。
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