若者の成長を阻害する定年延長

労働力人口の推移

労働力人口にも、人口減少や人口高齢化はそのまま反映されます。労働力人口は1990年の6,384万人から2000年には6,752万人と約6%増えました、さらに2005年に6,772万人でピークを迎えますが、その後は減少に転じ、2025年には6,296万人とピーク時から7%減少すると推計されています。また、労働力の高齢化も同時に起こります。労働力人口にしめる60歳以上の割合は1990年の11.5%から、2005年14.9%を経て、2025年には19.6%となり、労働者の5人に1人が60歳以上となる見通しです。

2025年に6,296万人なら2005年比7%減。これに対し2025年の人口は1億1927万人で、2005年の人口1億2777万人なので0.67%減。そんな大して変わらないので労働人口1人で国民1人を養うコストはほぼ変わらない。(参照)
ところが、
アゴラ:少子化対策」より「労働人口政策」を - 池田信夫を読むと、

団塊の世代の引退によって労働人口は今後10年間で9%減ると予想されており、他の条件を同じと仮定すると、これだけで年率1%ポイント近く成長率は低下します。今から「子づくり」を奨励しても、とても間に合わない。一人あたりのGDPはそれほど減少しないので大丈夫という考え方もありますが、税や年金の負担を考えると、世代間の不公平が拡大します。

とある。
労働力人口とは15歳以上の就業者と失業者の合計だが、随分数字が違う。仮に10年後を2020年として、5%しか減らない。えらい違いだ。
大体、定年制をやめろだの、なんて言われなくても企業は60歳過ぎても何らかの形で職が斡旋されていることが多い。第一、やってもらう仕事がないのに無理矢理作るから無駄な特殊法人が出来るのと同様に、無駄な子会社ができてしまい、企業の財務が圧迫されるのは目に見えている。天下りは何も官庁だけの話じゃない。
それよりも重大なのは労働人口の中で若い芽のまま才能を開花されないままになっている若者の失業者、非正規労働者。「成長」を重視するなら、若い世代にまともな職を与える方がよほど労働生産性が高まる。熟練であっても、もはや労働生産性を上げようにも上げられない高齢者の重用が、若者の成長力を犠牲にしている。若者の成長力を犠牲にするということは将来の日本の成長力を犠牲にするに等しい。
正規雇用批判で見逃される点は、若い労働者を成長させる機会の事実上の永遠喪失だ。大して、高齢者こそ非正規でいいのだ。そもそも高齢者の重要な役割は生産することではなく消費することだ。高齢者にいつまでも主役面されたら、日本の労働市場自体が自民党化してしまう。
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