海洋の二酸化炭素吸収力が50年で5%低下

Pollution increases as world loses its ability to absorb carbon dioxide(Telegraph)

The report, published in the journal Nature Geoscience, found that over the past half century the average "airborne fraction" of carbon remaining in the atmosphere had probably increased from 40 to 45 per cent because the oceans were less able to absorb the greenhouse gas.(この半世紀で大気中に残留した二酸化炭素などの炭素は平均で40%から45%に増えた。海洋の温暖化ガスの吸収力が減ったためだ。)

逆に言えば、半世紀前までは化石燃料起源の二酸化炭素を排出しても60%は海洋や森林に吸収されていたが、現在ではそれが55%に減った。とすると、2050年にはその吸収力は50%ないしは50%未満に落ちることだろう。
08年のCO2排出量2%増加 1人当たり1.3トン(47NEWS)

国立環境研究所のグローバル・カーボン・プロジェクト国際オフィスは、2008年の人間活動に起因する二酸化炭素(CO2)排出量が前年比で2%増加、1人当たり年間1・3トンとなり過去最高に達したとする報告をまとめ、18日付の科学誌ネイチャージオサイエンス(電子版)に発表した。
 同研究所によると、エネルギー起源のCO2排出量は1990年比で41%増加。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が予測した最悪ケースのシナリオに沿った動きをしている。
 また、毎年排出されるCO2のうち大気中に残る割合は平均45%、残りは森林などに吸収されているが、過去50年間でCO2の大気中の残存量が増加していることが判明。CO2排出量の増加や温暖化の影響を受け、森林などの吸収量が低下している可能性があるという。
同研究所の山形与志樹主席研究員は「これまでの伸び率と大きく変わらないが、金融危機でエネルギー消費が減ったことを加味すれば高いと言える」と指摘。金融危機の影響が本格的に出る09年の排出量は大幅に減少する見通しだが「世界が排出量削減に向けた努力をしないと、景気回復とともに排出は再び増加する」と警告した。

鳩山イニシアチブでは2020年で1990年比25%削減を目指しているが、これは2050年の80%削減へのステップに過ぎない。このまま最悪シナリオ通りに行くと、2050年のエネルギー起源のCO2排出量は1990年比で120%ぐらいになる。つまり2.2倍だ。1990年の排出量を100とすると、当時の吸収量の比が55%とすると45だったことになる。しかし、2050年の排出量が220となると、吸収量50%とすると、110になる。とすると2050年の正味排出量は110÷45=2.4になる。実際には2.4倍またはそれ以上だろう。もし80%削減となると、20。その時の吸収能力がどれほどか予想が難しいが、仮に60%吸収されたとして12になる。
そう考えると、最悪シナリオの110の約10分の1に抑えなければならないことになる。たかが25%削減で負担が年一世帯当たりン万円などと議論している場合じゃないことが分かる。
ところで、今の調子で海洋の二酸化炭素吸収力が減り続ければ、単純計算で2550年にはゼロになる計算になる。これはあくまで単純計算で、海水面の温度が今後急速に高くなるともっと早まるだろう。そうすると、海洋の吸収力はその後、マイナスになる公算が高い。もし、そうなれば、もはや人類が化石燃料を使うのをやめても、大気中の二酸化炭素濃度は自然に増え続け、とめどもないポジティヴフィードバックで歯止めが効かなくなることが考えられる。遠い将来のことではなさそうだ。
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