バブルは資本主義の効率性を阻害する

オバマ米大統領が金融機関に対する新規制提案(IBTニュース)

オバマ米大統領は21日、金融機関のリスクテークに関する諸制限を一段と厳格化するよう提案した。政権が2年目を迎えるなか、低迷する支持率の底上げにつなげたいとの意向があるとみられている。
 提案を受け、午後のニューヨーク市場で株価は大幅安となった。
 中身としては、1)銀行業務を行う金融機関によるヘッジファンドもしくはプライベート・エクイティ・ファンドへの投資や保有・出資の禁止、2)すでに制限がある預金に加え、負債など預金以外の資金源も考慮した、金融セクター全体における銀行の新たな規模制限の導入、3)自己勘定取引の禁止など。

長期的に見てこれは一時の人気取りではなく、正しい選択なのだろう。
バブルというのは拡大レンズのような作用があって、成長見通しを実体よりも大きく見せかける作用がある。
たとえば、日本の海運業界は資源バブルのさなかの2007年に船腹需要が大幅に伸びると予想し、過剰なまでに船腹量を増やそうとして2010年問題を引き起こしてしまった。言わば設備投資の高値掴みだ。これなどはバブルによる拡大レンズ効果で、金融商品で高値掴みしている分にはまだましだが、実物そのものを高値掴みをするのは恐ろしく無駄遣いだ。
これは何も今に始まったことではないのだろうけれど、金融資本が肥大化すればするほど拡大レンズ効果は大きくなる。
とすると、バブル主導による資本主義の差異化が大きくなればなるほど資本主義は非効率になるということになる。バブル主導だとアップダウンが激しくなり、さや取りする金融業者にとってはおいしいかもしれないが、実業では、登山に例えれば偽ピークの多い起伏の激しい山に登るようなもので、山頂は標高2000メートルなのに、激しい起伏の為に実際の登頂高度は2倍以上になるようなことになり、激しく消耗してしまう。恐ろしいエネルギーと資材のロスだ。
大体「百年に一度の金融危機」からまだ1年余りしかたっていないのに、既に中国や新興国がバブル化し、アメリカの銀行が再びドルキャリなどにうつつを抜かしていること自体、異常現象で、体にたとえれば、神経系統の異常で過食症になっている患者とよく似ている。金融はよく血流にたとえられるが、IT化した金融というのはむしろ神経系統に近い性質があって、ただ利益をバカ食いするためだけに投資するという塩梅になりつつある。以前、在米工学者の講演で印象に残った言葉に「一番効率的に儲ける方法はないものをあるように見せかけるビジネス」といものがあった。言い換えれば、食欲もないのにバカ食いさせるのが一番手っ取り早いということだ。
資本主義を効率化するためにこそ金融規制が必要なのだ。バカ食いしている間は楽しいだろうが、その後の反動ははるかに怖い。
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