成長に貢献しない預金罰則税

「預金課税」についてのQ&A - 磯崎 哲也
を読んで、「ナンセンスの二乗のような磯崎哲也公認会計士の預金税構想」でズッコケたのに続き、今度は椅子からずり落ちそうになった。

A.22 少なくともデフレ下では預金に利得は発生しており、政策目的もあるので、課税の合理性はある。

これは結構なことだ。とするとインフレで預金が実質目減りすれば預金課税はマイナス課税となり名目と実質の差額を税金で補てんしてくれるわけだ。有難いことだ。
もっとも、
少なくともデフレ下では預金に利得は発生
の部分、デフレだから物の値段に対してカネ価値が相対的に上がっているというものなのだろう。けれど、例えば、30年前から預金して引き出していない人を考えてみると、必ずしも利得を得ているとは限らない。デフレなんてここ10年、特にここ1年の現象だ。その間も超低金利なのだから利得になった時期はほんの瞬間的なものだ。面倒なので略すが、均せばインフレもデフレも起きていない。利得なんてあったっけ。
それならば、円高になれば利得になるので円高になるたびに預金税率を変動しなければならない。何しろ国内消費者物価はともかく海外旅行とか輸入品で確実に利得を得ている。そうすると円安になるとまた預金税率はマイナスになり税金で補てんしてくれるのだろうか。
やっぱ公認会計士と言っても、世間知らずというか、視野が狭いというか、オモロイこと言ってくださる。余興としては面白い。いや、本人が自覚してようがいまいが最初から余興なのだけれど。
別名マイナス金利なのだそうだが、世界各国は出口戦略を模索している昨今、日本だけインフレターゲットを批判している池田信夫氏までが錯覚して賛同しているのは笑える。これ、どっからどう見ても形を変えたインフレターゲットなのだけれど。
ここまで来ると、「成長」をご本尊にいただいた宗教というか経済成長全体主義国家でも目指しているのだろうか。
「能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」は共産主義思想、「働かざる者、食うべからず」はレーニンの言葉だが、「成長に貢献しない預金で食うべからず税」のようなこの預金罰則税構想はレーニンらの素晴らしい応用編ではある。この「働く」とか「労働」を自分の保有する「カネの労働」に置き換えればいい。
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