消費税増税でも国債残高を減らす気ないだろう


消費税10%の根拠は高齢者福祉費用まかなうため=菅首相(ロイター)

菅直人首相は18日夕刻官邸で記者団に対して、17日都内で行われた参院選マニフェスト政権公約)の発表に伴う記者会見で、消費税率の引き上げについて「10%が1つの参考」と述べた根拠について「現在年約17兆円の高齢者福祉関連費用を現行の消費税率5%では7兆円しかまかなえず10兆円ぐらい足りない」と指摘した。
 同費用が毎年増えることを念頭に考えると、「この程度の財源が必要なるとして申しあげた」と説明した。そして「自民党の資料によると、自民党もほぼ同じような考え方で、福祉について必要なのでその程度の税率になるとあり、考え方はほぼ同じ」と述べた。

消費税増税の際、必ずセットで出て来るのは「福祉」というのは昔からそうだった。細川首相もそれを言い出し、それで辞任した。
更に遡れば、消費税は何とバブルの絶頂期の1988年に成立し、翌年施行されている。さらにさらにその淵源を辿れば1986年の売上税構想で、同じ年に出たのが前川レポート。つまり、アメリカとの貿易摩擦を回避、内需拡大のための財源なのだ。
じゃあ、その頃、税収はどうだったかと言えば、バブル絶頂期に60兆円もあった。1983年の税収が36兆円くらいだったからバブル期は国債なんて発行する必要などなかったのに、それでも年に数兆円発行していた。
景気が良くなれば良くなったで、アメリカの要請による内需拡大を名目に国も気前よく大盤振る舞いでカネをばらまいていたのだ。ふるさと創生事業などというナンセンスが行われたのは1988年だ。つまり、名目は「福祉」、内実は何でもありの「内需拡大」だったのだ。
不景気でも国債発行、景気良くても国債発行。これじゃどんどん増えるわけだ。消費税創設時もそうだったのだから、今度も同じで消費税10%にしても決して国債残高は減らないだろう。心持発行額が減る程度だろう。これから景気が浮揚しても国債発行ゼロなんて夢のまた夢、それが“成長戦略”の実体。またしても「福祉」が名目に使われるだけなのは目に見えている。
大体、ギリシャの財政危機で押っ取り刀で慌てること自体嘘臭い。ほとぼりが冷めれば、ギリシャのことなどすぐに忘れられるし、忘れる大義名分も今から用意されているに違いない。“危機感”自体が本物じゃないのだ。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 経済ブログへ