日本版Conundrum

仙谷官房長官、長期金利1%割れ「何を意味するのか分析する」(日経)

仙谷由人官房長官は4日午前の記者会見で、債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが1%の節目を下回ったことについて「全世界的に長期金利が下がっている。特にアメリカでは国債に資金がシフトしているということが言われている」と指摘。そのうえで「これが何を意味するのか分析しなければならない」と述べた。

一方ではギリシャ財政危機などを背景に対GDP比で圧倒的に高い日本の国債もやがて暴落する危機が喧伝されていたから仙谷官房長官にも“謎”なんだろう。教科書的には欧米のデフレ懸念余波、輸出促進策なのだろうけれど、本当の原因は比較的単純だと思われる。
中国、日本国債の購入拡大 第2の債権国に(人民網日本国版)

日本財務省のデータによると、今年1-4月に中国が購入した日本国債のうち、期間1年以内の短期債務が中心で5177億円、10年前後の長期債は234億元。4月単月で見ると買越額は1978億円で、海外勢では英国に次ぐ2位。1-4月の買越額だけで2005年の2倍以上となっている。

 日本国債は外国人保有率が低く、3月末現在、わずか4.6%に留まっている。(編集YT)

 「人民網日本語版」2010年7月7日

同じような“謎”に悩まされていた人がアメリカにもいた。
グリーンスパンの謎

FRBFF金利を引き上げても長期金利が下がる現象を、グリーンスパンが「謎」(conundrum)と呼んだのは有名だが、その謎の原因は新興国の貯蓄過剰だったという。

しかし、今にして思えば、“謎”はすぐに分かったはずだ。人民元の為替を管理レートにしている中国や超低金利政策をやめなかった日本が恐ろしい勢いで輸出ドライブをかければ、とりあえず米国債は買われまくり、長期金利は低下することを。

グリーンスパンの謎も仙谷由人も謎も、落とし所は同じ中国だろう。今、中国は日本国債だけでなく、日本の不動産も、日本の美術品も買いまくっている。
なんでだろう、とは思うのだけれど、将来の対ドル人民元高に付き合って円高になりそうな日本国債なら買っても為替差損にはならんだろう、という思惑があるのかもしれない。とりあえずリスク分散して安全資産として日本国債が評価されているみたい。
となると、今後日本の国債残高が1000兆円超えても中国マネーが買い支えしてくれる、なんて考えて更なる予算の無駄遣いを続けると、最終的には日本版リーマンショックが待ち構えている悪寒がする。もはや「日本の国債の95%は日本人が持っているから安心」なんて呑気なこと言っていられるのは今のうちで、軍事だけでなくマネーでも中国に首根っこを握られることになりはしないか。
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