偽オランダ病

オランダ病@wiki

天然資源と経済成長との関係において使われる言葉。天然資源の輸出によって通貨の為替レートが上昇して工業品の輸出が廃れ、国内製造業が廃れてしまう現象。
欧州における天然ガスの大産出国であるオランダでは、1973年に発生した第一次石油危機の後、エネルギー価格高騰に伴う天然ガス売却収入の増大が起こり、この収入を原資に高レベルの社会福祉制度が構築された。
しかし、天然ガス輸出拡大によって通貨ギルダーの為替レートが上昇し、同時に労働者賃金の上昇による輸出製品の生産コスト上昇も加わり、工業製品の国際競争力が急速に落ちたことから経済が悪化。経済の悪化に伴い、経済成長下で増大させた社会保障負担が財政を圧迫し、財政赤字が急増した。

さて、それを踏まえて、
Espresso Diary@信州松本:懸念すべきは破綻ではなくオランダ病。

もしも日本に景気回復のための現実的なシナリオがあるとすれば、それは構造改革をめぐる幾つもの法案が捩れた国会を通過する近未来ではなく、税収が減る中で「2兆円の景気対策を一気に投入する」と訴える小沢一郎さんが総理大臣になり、インフレ・ターゲットを政策としている公明党みんなの党などと共に日銀を変える政策が打ち出されることだと思います。逆に、このままの道を歩めば、それはオランダ病の症状を深めることになるでしょう。

は正しい認識なのか。まず天然資源に相当するものは日本で見渡したところ全くない。何か僥倖に恵まれて、その高騰した資源を輸出して円高になったわけでは全くない。もし、例えるとしたら、今ではロシアとかウクライナあたりだろう。
第一、日本のGDPに占める製造業の割合は既にごく一部でしかなくなっている。
しかも、円高なのに依然として日本は貿易黒字を続けている。オランダのように天然ガスみたいな宝くじでたまたまの石油ショックで儲けられましたなどのような一つこければ皆こけたとは土台、わけが違う。日本は当時のオランダの脆弱性など全くない。
強引に現在の円高の原因を探れば、実はリーマンショック前までの日銀の超低金利政策にある。そもそも白川方明日銀総裁は就任当初

「物価が上昇していても、金利を引き下げることが必要な局面もあり得る」と述べ、景気の悪化には利下げも排除せずに柔軟に対応する姿勢を表明した。

と、資源バブルに火に油を注ぐようなことを言っていた。決して“ミスター円高”なんて代物じゃない。
もし、日本にオランダの天然ガスに相当するものがあったとしたら、2000年に入って日銀自身が作りだしてきた“円安バブル”だろう。今はその暴落による円キャリーの巻き戻しの解消現象で円高になる最終局面だ。
しかし、財政悪化はもっと前に遡る。その面で“天然ガス”に相当するものは1980年代後半のバブル経済だろう。しかも、それは他ならぬ円高によってもたらされた。原因と結果が逆なのだ。
その結果、財政悪化したのは同じだが、これも原因と結果が逆で、景気対策財政出動してバラマキしたから財政悪化したのだ。儲かったからバラマキしたわけではない。
こうなると、どこからどう見ても日本の現状は偽オランダ病であり、オランダ病とするのは「重病人を元気と診断する倒錯した経済観」の一例だろう。
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