中国政府は「人権」を第2のアヘンと恐れている

阿片戦争@wiki

アヘンの輸入代金を銀で決済したことから、アヘンの輸入量増加により貿易収支が逆転、清国内の銀保有量が激減し銀の高騰を招いた。当時の清は銀本位制であり、銀貨と銅銭が併用され、その交換比率は相場と連動し、銀貨1両に対して銅銭1000文程度であったものが、銀の高騰により銀貨1両に対して銅銭2000文という比率になった。この頃の清では、税金を銀貨で納付するよう規定していたことから、日常生活で銅銭を使用し、税金の納付において銅銭を銀貨に交換していた農民は納める税金が2倍になった計算である。さらに銀の不足により銀価格が上がる事は、物価が下がる事と同義であり、清の基本的な税制である地丁銀制が事実上崩壊し、経済にも深刻な影響を及ぼした。

この文章の銀貨を人民元に置き換えると、現代ぽくなる。折しも、アメリカなどから人民元為替レート引き上げ圧力が高まっている。
更に、
劉氏、賞は天安門犠牲者の魂に 妻は8日から軟禁状態(47NEWS)

ノーベル平和賞受賞が決まった中国の民主活動家、劉暁波氏(54)は10日、妻の劉霞さん(49)との面会で、賞は1989年の天安門事件で犠牲になったすべての人たちの魂にささげる、と涙ながらに語った。短文投稿サイト、ツイッターで劉霞さんが11日までに発信したメッセージで分かった。
劉霞さんのメッセージによると、遼寧省錦州の刑務所で服役中の劉氏は、受賞決定について9日夜に刑務所側から伝えられており、面会時には既に知っていた。
劉霞さんは賞の発表のあった8日から中国当局によって軟禁状態にされていることを明らかにした上で「みんなにいつ会えるか分からない。私の携帯電話は壊され、使えない」と訴えた。
また、劉霞さんの知人が劉霞さんの伝言としてツイッターで伝えたところによると、夫婦は刑務所で面会。劉氏は、天安門事件の犠牲者が自らの命を懸けて平和と民主、自由と非暴力の精神を貫いたと語った。
関係者によると、劉霞さんは受賞決定後の8日、北京市の自宅前で海外メディアの取材に応じる予定だった。しかし公安当局者が劉氏との面会を理由に同日夜、劉霞さんを連れて錦州に向かった。

という事態。普通に考えれば、「人権」と「アヘン」を同一視するのは馬鹿げているかもしれない。
しかし、中国政府にとって、「人権」が外側の人間以上に警戒すべき毒薬であることも理解可能だろう。そもそも「人権」のなんたるかを根本から理解する習慣がなかった人民に無闇に流行すれば、ある意味アヘン以上に厄介な「毒薬」になることも中国政府は理解しているはずだ。外部の人間は「人権」を無原則に「良薬」と思い込みがちだが、無原則な「良薬」などこの世に存在しない。
だからこそ、テレビニュースが突然真っ暗になるという外側から見れば信じられない暴挙も敢えてする。
「毒薬」は何も政府転覆につながりかねないという自己保身だけでは説明し難いものがある。単なる政権転覆だけなら、これまでも中国の歴史で経験してきたことだ。所謂中国人民のエートスの混乱を招きかねないことこそが中国政府の危機感の本質のように思える。そこにはアヘン戦争で味わったトラウマがあることは言うまでもないだろう。信じられないかもしれないが、「人権」の名の下に天安門事件が牧歌的に見えるくらいのジェノサイドだって起こりかねない。そのことは毛沢東思想が1950年代の大躍進や1960年代の文化大革命で大虐殺を引き起こしたという自らの経験からも懲りていることだろう。
中国政府は愚かなように見えて、13億の民を制御するノウハウを外側の国々以上によく知っていると見るべきだろう。現在の中国政府の方針は、ほどほどの人権抑圧を必要悪と見なし、“人権過激派”を当分抑え込むというものだろう。
所詮、世界最大の人口を持った国が大混乱なしで急速に変わることは不可能だということもよく知っている筈だ。欧米も、日本もそのことをよく理解して妥協しながら、適宜刺激して徐々に徐々に中国が変わるように仕向けながら付き合うしかないのではないか。
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