撤廃された防衛費1%枠はいまだ遵守されている
「朝まで生テレビ:日中関係と朝鮮有事!!」を録画で観ていたら、諸外国が軒並み防衛費を増やしているのに日本だけが減らし続けているということが論議になっていた。
過去の推移を調べてみると、とうになくなっている筈の防衛費1%枠が今も守られているのだ。
防衛費1%枠@wiki
日本の防衛費(軍事費)をGNPの1%以下に抑える枠のこと。
防衛計画の大綱のもとで防衛政策を推進する毎年度の予算枠として、1976年三木内閣によって閣議決定された。
三木以降の歴代内閣も予算編成にあたってこの枠を維持したが、1987年第3次中曽根内閣が昭和62年度予算編成において防衛費1%枠を撤廃。総額明示方式へと転換した。
総額明示方式とは、長期計画による防衛費の総額を明示して軍備拡張の歯止めにするというものだが、わが国の防衛政策の基本と防衛力整備を見ると、撤廃後も1%枠を上回った形跡はない。表には出ていないが、当時はバブル経済まっしぐらで予算も増えたから防衛予算を増額しても1%を超える心配なかったのだろう。
しかしバブル崩壊後もきっちり守られている。冷戦崩壊ムードも手伝って増額する根拠に説得力もなかったのかもしれないが、当時は既に北朝鮮がノドン・ミサイルを開発し、核開発も明らかになっていて既に今日の事態を予見できる事実が判明していた。
なのにその後もなぜか一貫して1%枠が守られている。風が吹こうが雨が降ろうが雷が落ちようが、この1%枠は律儀に守られているのだ。
日本のGDPの推移を見ると、失われた20年状態に入っていて、GDPはなかなか上がらず、防衛費が1%を超えていも不思議ではなかった。なのに一貫して1%枠内に抑え込まれている。見事なまでに0.9%以上から1%未満の範囲内に収められている。平成14年(2002年)などはSACO関係費、米軍再編関係経費を含めたベースで涙ぐましくも0.999%だ。本当に涙が出そうな“遣り繰り”ぶりだ。
結局、中曽根内閣で防衛費1%を撤廃しても現実には“見えない原則”が働いていて実際には撤廃されていないことが現実の数字が雄弁に物語っている。そもそも総額明示方式自体が曖昧でよく分からないのだが。
恐らく少しでも1%を超えれば、どこかの新聞社あたりが鬼の首でも取ったように「防衛費ついに1%超え」「事実上歯止めなくなる」とか大見出しで報じるだろうと予測し、自主規制して“見えない原則”化させているとしか思えない。
この摩訶不思議な“見えない原則”は防衛費ばかりか、現下の民主党政権下でもしっかり生きているらしいことは、マニフェストや事業仕分けで廃止と謳われたものが、なぜか1年経っても何事もなかったように継続していることからも分かる。
過去に作られた非核三原則、専守防衛だの、まるで呪文のような原則がいまだ生きているが、そろそろ過去の“原則仕分け”をしないとどうにもならなくなる時期に来ている。
しかし、仮に“原則仕分け”したところで、強力無比の“見えない原則”が働き、結局何も変わらないということを今から予感してしまう。
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