福島県の放射線量降雪効果?で急減

文部科学省の「可搬型モニタリングポストによる福島県における空間線量率(1m高さ)」で調べてみたら、どうも最近の大雪による積雪が放射線をかなり遮断しているようだ。放射線量が表示され始めた9月8日、大雪が降る前の12月20日、降雪後の12月28日の数値を比較してみた。数字は1日の中でも変化するがランダムサンプリング。
あづま総合運動公園(福島市)0.428(9月8日)→0.375(12月20日▼12.4%)→0.317(12月28日▼25.9%)μSv/h(以下同順)
二本松市役所(二本松市)0.929→0.718(▼22.7%)→0.641(▼31.0%)
伊達市役所保原本庁舎(伊達市)0.632→0.573(▼9.3%)→0.492(▼22.2%)
石神生涯学習センター(南相馬市)0.834→0.645(▼22.7%)→0.639(▼23.4%)
須賀川市役所(須賀川市)0.170→0.150(▼11.8%)→0.149(▼12.4%)
飯舘村役場(飯舘村)2.120→2.057(▼3.0%)→1.860(▼12.3%)
白河市総合運動公園(白河市)0.401→0.363(▼9.5%)→0.357(▼11.0%)
会津若松市役所(会津若松市)0.126→0.120(▼4.8%)→0.102(▼19.0%)
びわのかげ運動公園(南会津町)0.066→0.065(▼1.5%)→0.052(▼21.2%)
スポーツアリーナそうま(相馬市)0.360→0.339(▼5.8%)→0.325(▼9.7%)
郡山市役所(郡山市)1.090→0.829(▼23.9%)→0.819(▼24.9%)
広野町役場(広野町)0.439→0.402(▼8.4%)→0.381(▼13.2%)
川内村役場(川内村)0.183→0.172(▼6.0%)→0.161(▼12.0%)
葛尾村柏原地区(葛尾村)6.819→6.271(▼8.0%)→6.369(▼6.6%)
田村市常葉行政局(田村市)0.159→0.143(▼10.1%)→0.143(▼10.1%)
鬼ヶ城オートキャンプ場(いわき市)0.344→0.317(▼7.8%)→0.311(▼9.6%)
海竜の里センター(いわき市)0.305→0.279(▼8.5%)→0.277(▼9.2%)
養護老人ホーム東風荘(富岡町)5.458→5.006(▼8.3%)→4.996(▼8.5%)
石熊公民館(双葉町)14.924→13.701(▼8.2%)→13.639(▼8.6%)
浪江ひまわり荘(浪江町)4.049→3.706(▼8.5%)→3.739(▼7.7%)

12月20日の平均減少率▼10.1%、12月28日の平均減少率▼14.9%。1週間でこんなに減少したのは恐らく22日あたりから降った大雪による放射線遮断効果があるのだろう。実際、降雪が少なかったと思われる浜通りいわき市などはそんなに変化がない。会津地方や山間部はかなり劇的に減少している。雪はある程度氷雪化して今冬中地面をカバーするだろうから、放射線は今冬中、低めに推移するだろう。しかし、春になって雪解けになればまた上がりそうだ。
とすると、約100日で減少した放射線量は実際には▼10%程度だろう。最大の要因は物理的半減期が30年のセシウム137に比べて半減期が2年と短いセシウム134の減少効果だろう。大体3%分くらいがセシウム134の物理的減少によるものだろう。
では、残りの7%分は所謂環境的半減期と考えられる。チェルノブイリでは環境的半減期が異常に長いらしいが、降雨量の少なさや厳冬期の地面の凍結期間の長さも要因の一つのようだ。
日本の場合、高温多湿なので多分、環境的半減期は短いだろう。降雨量が多いと、その分、放射性物質が一部の場所に濃縮するホットスポット化も引き起こすが、流入するにせよ流出するにせよ、流動性が高いことは間違いない。
ただし、日本でも冬季は放射性物質流動性は低くなるだろう。除染作業するにしても自然環境による濃縮をうまく利用すべきだろう。
また、この「福島平均20」が実態を反映しているかと言えば、そうとも思えない。モニタリングポストは人が集まる役場や公園がほとんどで、一部では除染作業されて自然状態より低めに出ている可能性がある。除染作業しなくてもルーティーンの清掃作業などで低下している可能性もある。言ってみればヒートアイランド現象のある都市部の気温を図っても地球温暖化現象を正確に測定できないのと同じだ。
本当に放射線量を測るには、むしろ人が住んでいない山の中などにモニタリングポストを設置しないと環境的半減期がどの程度なのか分からないだろう。
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