機能水はセシウム体外排出を阻害するのか?


岩上安身オフィシャルサイト:2011/12/28 記者会見「福島第一原発の警戒区域内における被ばく牛の機能水を使用した除染試験の成果報告と富岡町と共同で来年実施予定の本試験の詳細について」

今回、会見を開催した有限会社エム牧場、日本獣医生命科学大学、創生ワールドからなる研究チームは、高邑議員の呼びかけに反応し、原発から12キロの地点にある「浪江町・エム牧場」にて、9月末から8週間に渡り、被曝した牛の除染試験が行った。
被曝した牛を8頭ずつ、計16頭、二チームに分け、一群を機能水(創生ワールド株式会社が提供するトルマリン石を通して出ている水)、二群を井戸水と分けて飲ませ、飼育するという実験方法を取った。
試験の結果、機能水摂取の場合、6〜8週で70%強の尿中セシウムの減少が見られ、井戸水摂取では50%前後の減少が見られた。尿中放射性セシウム137と134はそれぞれ、機能水では1/4.5、1/5.0に低下し井戸水摂取では1/2.6、1/3.1に低下。わずかにセシウム134のほうが減少率は高かった。

これだけではよく分からないので貼られていたUSTREAMを視聴したら、実験1週間目で平均減少率が機能水40.6%、井戸水22.9%、4週間目くらいで20%くらいの差が出たそうだ(1週間目から20%くらい差が出ていると思うのだけれど)。最終的に「機能水摂取の場合、6〜8週で70%強の尿中セシウムの減少が見られ、井戸水摂取では50%前後の減少が見られた」ということらしい。結局、1週間目から差は20%前後であることには変わりない。
ところで、機能水の方が尿中セシウムの減少が大きいということは、機能水飲ませると、セシウムの体外排出を阻害していることになるんじゃないのか。8週間目ならともかく、1週間目から「機能水40.6%、井戸水22.9%」減少というのなら実験始める前より機能水使い出してから尿中セシウムの体外排出効率が40.6%も悪くなったことになる。機能水が体外排出を促進するのなら少なくとも井戸水より減少率が低くてしかるべきだろう。つまり減少率が高いということはセシウムの体外排出が少なくなっているということだ。
まさか機能水そのもので体内の放射線セシウムが体内で消えてくれる訳がないだろう。だとしたらオカルトだ。主に筋肉に貯まる体内のセシウムが排出する経路は尿か汗だろう。他にどんな経路があるというのか。
もし機能水がセシウム体外排出を促進させる効果があるのなら、少なくとも実験始めた1週間目は増加し、それから体内のセシウム蓄積量そのものが減少した効果に比例して増加率が減り、減少に転じなければならない筈だ。最初から劇的に減少するのなら最初の1週間以内で劇的に体内セシウムの大部分が排出されたことになる。これは予備実験らしいが、なぜ毎日尿検査しなかったのか。そもそも予備実験段階でなぜ記者会見する必要があるのだろう。
ところで、井戸水の出所が分からない。もし当該牧場の井戸水なら福島第一原発から12キロしか離れていないので井戸水そのものが放射性セシウムに汚染されている可能性がある。機能水が他の場所から持ち込まれたのなら、最初から2グループに条件差があることになり、その時点で実験は成立していないだろう。
最低限の説明がないので結局何が何だか分からない。大体、会見した人々は減少率が高い=除染に効果アリ、と思い込んでいるフシがある。また聞き手にもそう期待しているフシがある。しかし、そんなこと最初から言えるワケないだろう。
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