日本には与党と野党という名の政党しか存在しない
野田首相:消費税国会、施政方針演説 福田、麻生氏引用に野党反発 「政局より大局」難しく(毎日)
野田佳彦首相は24日の施政方針演説で、消費増税を柱とした税と社会保障の一体改革に関する協議入りを野党に強く求め、「消費税国会」の与野党攻防が幕を開けた。自民党政権時代の福田康夫、麻生太郎両元首相の施政方針演説を引用して自身の正当性を主張する野田首相の論法はかえって野党側の反発を招き、消費増税に政治生命をかける首相の決意は空回り気味。「今こそ政局ではなく、大局を見据えよう」との呼びかけも衆院解散・総選挙を迫る野党側には響かず、解散含みの対決ムードが「大局」の共有を一層難しくしている。
首相がこう言って引用したのは「与野党が信頼関係の上に立って話し合い、国政を動かすことこそ、国民に対する政治の責任だ」(08年、福田元首相)▽「消費税を含む税制抜本改革を行うため、11年度までに必要な法制上の措置を講じる」(09年、麻生元首相)−−などのくだり。首相と同様、参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」に苦しんだ両元首相に自身を重ねることで「与野党という立場を超えて次世代のために一緒にやろうと訴えたかった」(藤村修官房長官)という。
しかし、演説を引用された福田氏は「なかなか良いことを言っている。だけど、あのころを思い出すと(民主党に)ひどいことを言われてえらい目に遭った」と不快感を隠さず、麻生氏も「いいとこ取りされた。民主党は限りなく自民党化し、抱きつかれてきている感じ」と皮肉った。
取り分け、麻生氏のコメント「民主党は限りなく自民党化」が象徴的で、これ、まるっきり「野党は限りなく与党化」したとほとんどイコールに思える。
この現象は今に始まったことでなく、非武装中立・自衛隊違憲だった社会党が村山内閣として与党になった途端、自衛隊の合憲を認めた。さらに古くは刺殺された浅沼稲次郎社会党委員長だって口では「アメリカ帝国主義は中日共通の敵」と訪中した際には言っても、裏では自民党首脳とつるんでいて「アメリカとの協調、日米安保なしでは日本は立ちいかない」と合意していたという。
つまるところ、国会という場はこうした暗黙の前提に立った与党という主役(敵役)と野党という敵役(主役)の演劇なのだ。
万年野党が与党になるということは元服とか成人式を受けるようなところがあり、「現実的」≒「大人になる」という儀式なのだ。
このところ、
「誰が言ったか」ではなく、「何を言ったか」が問われる時代へ
とも一部で言われているが、政界では「誰(与党か野党)が言ったか」が今なお決定的に重要だ。同じことを野党時代に言っても、「重み」が違い無視していいという暗黙の了解がある。
そうでなければ「政権与党の責任」と言ったような思考停止な言説が流通するわけがない。こんな言説「横綱の品格」と同じようなもので伝統的慣習が生きる社会にしか存在し得ない。そうだ、そうだ、野党から与党に政権交代するということは大関から横綱に昇進するようなものだ。八百長がはびこるという点でもよく似ている。ただし、本当の横綱は降格しないのだが。ちなみに、じゃあ、関脇や小結、前頭ってどこの政党かは問うまい。
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