メキシコ湾流は北極海を通過して太平洋に流れ込む?

メキシコ湾流が温暖化の影響で氷が解け、塩分濃度薄まる結果、沈み込まずに停滞してヨーロッパが寒冷化するという説が流布しているが、むしろさらに北上して沈み込み地点が北上しているだけなのかと思えて来る。今冬の北極海バレンツ海の海氷は昨年12月(グラフ上)よりも今年2月初め(グラフ下)の方がむしろ減っているように見える。北極海の海氷は3月中旬ごろピークになるが、今冬の場合、一番増える時期なのにほとんど増えていないし、減っている部分もある。巷間言われているようにメキシコ湾流の沈降量が減っているのなら、むしろ海氷は張り出して来なければならない筈だ。現実は逆でバレンツ海の海氷は後退している。その分、海氷は太平洋への入り口、ベーリング海に張り出している。(参照)
ということは、沈降しているのではなく、メキシコ湾流がさらに北上し、それに伴って沈降地点そのものが北に移動していると考えるのが自然だろう。
メキシコ湾流のグレートコンベアーベルト(GCB)が停滞したら寒冷化するという説は「デイ・アフター・トゥモロー」で映画化もされたが、根拠は1万年以上前に起きた淡水湖の決壊による急速淡水化説に依拠している。しかし、現在ではLake Agassizに相当する巨大淡水湖は存在しない。
その代わりにグリーンランドの氷床が解けてGCBが停まると懸念されているが、陸上に貯蓄された氷床は「北極の氷が溶け南極の氷が溶けない幾何学的理由」によって、海氷に比べてゆっくりしか溶けず、GCBを力技で止めてしまうようなインパクトはない。よって、GCBが一時的に停まるなんてことは今後もないだろう。
心配すべきなのはメキシコ湾流がそのまんま北上し過ぎて北極を通過し、ベーリング海から太平洋に流れ込み、これまでの海流の秩序が根本から変わってしまうことだろうか。そうなると、日本の東側を流れる寒流の親潮も温度が上昇するなんてことも想像され、世界的に気候が大変動してしまうかもしれない。
にほんブログ村 環境ブログへ