ISEPの数合わせ

2012年4月17日(火) 環境エネルギー政策研究所 ブリーフィングペーパー 原発を再稼働しなくても今夏の電力は足りる(関西電力版)
表1を見ると、今夏のISEP供給力予測の需要は昨年夏実績2,784万kWと全く同じ。供給も原発ゼロ(昨夏337万kW)になったのにほぼ同じ。そもそも昨夏337万kWというのも、実は正確には昨年7月22日以降の実績で、7月21日から定期検査に入った高浜原発4号機の87万kW、7月22日に定期検査に入った大飯原発4号機の118万kW分は含まれていない。つまり7月20日以前は計205万kW分余裕があった。つまり、昨夏と言っても、実質8月で、しかも、昨年8月はそれほど暑くなく、むしろ空梅雨で7月の方が暑く感じられた。今年も空梅雨で6月中に梅雨明けすれば、少なくとも7月は単純比較できない数字だ。
その後の詳細は所謂数合わせと見なしてもいいのが正直に読める。あまりに正直過ぎて笑いたくなる。
一番大きい供給力像は火力で、昨年実績より192万kW増の1,946万kW。一方の設備容量は1,977万kW。つまりぎりぎりいっぱいの98.4%まで稼働させることを前提にしている。政府予測も97.3%。
揚水は昨夏並みの465万kWとしているが、そもそも揚水発電の揚水のための主電力は原発なのにそれがゼロでなぜ昨夏並みの数字になるのかが分からない。火力発電も夜間フル稼働するしかないが、そんなこと現実的に可能なのか疑わしい。帳尻合わせは「追加対策」の150万kWなのだけれど、こういうのは予測とは言わない。希望的観測と言う。「ピーク時の節電を促す各種インセンティブ」とか言われても、昨夏などはインセンティブを与える前に、自主的に節電しているきわめて道徳的な企業がいたので、その上にインセンティブ与えてどこまで節電できるのやら。協力する企業は電力使用をピーク時以外にシフトすると、揚水電力に回す電力ポテンシャルも低くなる。
しかも、あれだけ原発事故で「想定外」という言葉が言われたのに、供給力予測に関しては「想定外」はないらしい。水力に関して言えば、最低でも過去20年くらい遡って最低供給実績を入れるべきだが、政府とも仲良く254万kWだ。火力発電所の故障はどれくらい想定しているのだろう。「追加対策」を当てにするのなら、反対の「追加供給減」「追加需要増」も想定して詳しく語らなければならないが、そんなことは書かれていない。
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