田中バイアス

田中直紀防衛相に対する問責決議案全文 「自らの職に固執することで日本の国益が損なわれている」(産経)

北朝鮮が「人工衛星」の打ち上げと称して、長距離弾道ミサイルの発射を強行したが、発射後の対応や情報伝達の混乱は、内閣に危機管理能力が欠如していることを露呈し、国民に大きな不安を与えており、自衛隊の隊務を統括する田中防衛相もその責任を免れない。
また、田中防衛相は委員会審議において、秘書官のサポートなしにはほとんどまともに答弁できないなど、安全保障政策に関して基礎的知識が全くないことは周知の事実となっている。

日本政府がミサイル発射を発表したのは、米韓の発射確認から大きく遅れ、打ち上げから約45分後の田中防衛相の会見であった。この間、エムネットで地方公共団体へ「発射を確認していない」と発信し、初動対応に混乱が見られた。この「混乱の40分」は1分1秒を争う弾道ミサイル対処において決して看過することができない失態である。

田中防衛相は3月21日の記者会見で、航空自衛隊の地対空誘導弾ペトリオット(PAC3)を海上自衛隊の哨戒機P3Cと混同するなど政治家として最低限備わっているべき基本的常識すら知らないのではないかと疑わざるを得ない。

沖縄県多良間島にPAC3を配備しない理由について、田中防衛相は島の人口規模に言及した。これは住民が少ないから配備しないと受け取られかねない発言であり、かつ南西諸島の防衛力強化をうたう現在の中期防衛力整備計画に反している。日本の防衛政策を理解していない発言だと断じざるを得ない。
4月3日の参議院予算委員会では、北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ノドン」への防衛体制について「今の態勢では、私の認識では全国土について守りきれない」と答弁した。弾道ミサイルから国民を守りきる、というメッセージを国内外に発すべき防衛相の発言として、にわかには信じがたい発言である。弾道ミサイル発射に関し、国民の不安をあおり、国際社会の信用を失墜させた田中防衛相の責任は重大である。

1月31日の参議院予算委員会開会中に無断で中座して、国会内食堂でコーヒーを飲んで休憩し「行方不明」の大臣を捜索する間、委員会審議を中断させた。

同月26日の同委員会でも撤収計画の「表紙しか見ていない」との答弁を堂々と行った。首相が、南スーダン自衛隊派遣の隊旗授与式で、「隊員全員が安心して任務に当たられるよう政府として全面的に後押しを誓う」と訓示したのに反し、田中防衛相がその職責をまったく自覚していないのは明白である。

衆議院予算委員会では、「自衛隊が合憲とされる根拠は何か」との質問に、「私自身は理解していない」と従来の政府見解すら説明できなかった。

普天間飛行場移設事業について、就任直後、テレビの討論番組で「着工を年内にできるかどうかは、当面の手順になっている」と発言、また埋め立て許可申請を6月までにやるのかと問われ、即座に認めるなどし、沖縄の不信を招いている。

いやあ、色々あり過ぎて困るのだけれど、田中直樹防衛相は正直で、その分、責任転嫁されやすいターゲットになってしまっている感がある。
ノドンの認識は間違っているのか? 間違っていないだろう。多良間への配備と人口密度の関係? 間違っていないだろう。PAC3が無限に供給できる訳でないから合理的判断だ。自衛隊が合憲とされる根拠? そんなのないよ。
今回の北の「人工衛星」の不手際? 間違っていないだろう。実際にわが英明なる防衛相閣下は発射直後に失敗したと認識し、Jアラートを発信する必要はないと判断されたのだから。即座に飛んで来ないと分かったのに、なぜJアラートを出す必要あるの? 逆に出したら出したで、「発射直後に飛んで来ないと分かったのになぜ出して、沖縄の人たちを混乱に陥らせたのか。田中防衛相の資質が問われる」と真逆な方向から問責されるのが目に見えるようだ。
世の中には叩きやすい人、叩かれやすい人がいて、田中防衛相など就任前から叩かれやすいオーラ満載の人だった。で、案の定、サンドバッグになってしまい、いつの間にか「何でも、田中防衛相の資質」の問題に転化される“田中バイアス”ができてしまった。
けれど、以前の防衛相と比べて劣るのかと言えば、別に並みじゃないの、としか言いようがない。むしろ、正直ベースの発言が聞けるので貴重な存在とさえ思えるのだけれど。
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