大飯原発の放射線物質拡散予測の非現実性
原子力規制委員会は24日、全国16か所にある原子力発電所で事故が起きた際、放射性物質がどれくらい拡散するかを予測した「拡散シミュレーション」を公表した。柏崎刈羽(新潟県)、浜岡(静岡県)、大飯(福井県)、福島第二(福島県)の4か所では、規制委が示した新防災指針案で重点区域とされた原発から半径30キロ圏を超え、国際原子力機関(IAEA)が避難を求める基準である7日間の積算被曝ひばく線量の100ミリ・シーベルトに達する結果が出た。国がこうした試算を公表するのは初めて。ただし、予測は気象条件だけをあてはめたもので、地形は考慮していない。
福島第一原発事故では、放射性物質拡散予測システム「SPEEDI」の予測結果が公表されず、住民避難に生かされなかった。今回のシミュレーションは、地域防災計画を作る自治体の求めに応じ、福島第一原発を除く全国16か所の商業用原発を対象に参考情報として米国の手法で試算した。
それぞれの原発で、〈1〉福島第一の事故と同量の放射性物質が漏れるケース〈2〉すべての原子炉で炉心溶融が起きて放射性物質が漏れる最悪のケース――で実施。原発から16方位の直線上に、7日間の積算被曝線量が100ミリ・シーベルトに達する地点を地図上に示した。国際放射線防護委員会の推定では、100ミリ・シーベルトを浴びると、がんなどで死亡するリスクが0・5%高まる。
平地や山といった地形はまったく考慮に入れず、昨年1年間の風向き、風速、降雨量といった気象データを基に試算した。
東海地方は日本海と太平洋側の距離がくびれて近いうえに伊吹山地と養老山地の狭間にある関ケ原付近で標高が低くなっていて季節風が容易に乗り越えやすい地形になっている。この影響で雪雲の一部は、関ケ原付近を通過し濃尾平野へ侵入し雪を降らせている。
この図を見ると、原子力規制委員会が発表した大飯原発の放射性物質拡散予想は、もの凄く楽観的に見える。一応、地形は平なまま、風向きも年間の平均で考えたということだが、1年半経ってまだこんな概念的な予測図しか発表できないのかと思うと脱力する。当ブログでは今年初め、「もし福島第一原発並み事故が福井原発で起きたら」で、一応脳内拡散予測していたのだけれど、全てにおいて勝る原子力規制委員会は何をやっているのか、と言っても発足したばかりだったか。
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