天皇陛下の式年遷宮的おことば

安倍晋三首相の広島・長崎でのスピーチが前年のコピペというのがひとしきり話題になった今日この頃、本日の全国戦没者追悼式の天皇陛下のおことばを過去に遡ってみた。まず、今年。
平成26年バージョン

本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
終戦以来既に69年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。

続いて昨年。
平成25年バージョン

本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
終戦以来既に68年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。

今年のは終戦から数えての年以外は昨年の完コピ。では、一気に平成元年まで遡る。
平成元年バージョン

戦没者を追悼し平和を祈念する日」に際し,ここに,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,尊い命を失った数多くの人々やその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
顧みれば終戦以来すでに44年,国民のたゆみない努力によって築きあげられた今日の平和と繁栄の中にあって,苦難にみちた往時をしのぶとき,感慨は誠につきるところを知りません
ここに,全国民とともに,我が国の一層の発展と世界の平和を祈り,戦陣に散り,戦禍にたおれた人々に対し,心から追悼の意を表します。

平成元年に比べて今年のは部分部分かなり修正の跡が散見される。ただし、基調は同じ。
平成2年バージョン

本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たって,ここに,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,尊い命を失った数多くの人々やその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
顧みれば,終戦以来すでに45年,国民のたゆみない努力により今日の平和と繁栄が築きあげられましたが,苦難にみちた往時をしのぶとき,感慨は誠につきることがありません。
ここに,全国民とともに,我が国の一層の発展と世界の平和を祈り,戦陣に散り,戦禍にたおれた人々に対し,心から追悼の意を表します。

だんだんと現代に近づきつつあるのが見て取れる。
翻って先代の昭和天皇のおことば。そもそも全国戦没者追悼式が毎年開かれるようになったのは昭和38年から。
昭和38年バージョン

先の大戦において戦陣に散り、戦火に倒れた数多くの人々をいたみ、その遺族を思い、つねに胸のいたむのを覚える

これ、全文なのか定かでない。全文とすれば、かなり短い。元々天皇のおことばというのは短いものだと思うのだけれど。
昭和天皇最後のおことば。実はこれが昭和天皇が公で言葉を発した最後のもの。既に衰弱してかなり無理をされたそうだ。
昭和63年バージョン

先の大戦において戦陣に散り、戦火に倒れた数多くの人々やその遺族を思い、今もなお胸がいたみます。ここに全国民とともに我が国の発展と世界の平和を祈り心から追悼の意を表します。

これも全文かどうか定かでない。ただし、全文でなくてもこれが最後の全文だ。かなり量が増えている。
短かったにしても、その文言はずっと踏襲されていて、現代にもいかされている。そもそも天皇陛下が毎年開催される全国戦没者追悼式で毎年時事トピックスを採り上げて手を変え品をかえたおことばをされたら有難味もなくなる。式年遷宮の如く建て替えはするが中身は変えない。ただし、細部は微妙に変えられている。
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