幕末に「目に焼き付ける」という表現あったのか

NHK大河ドラマ「篤姫」を見ていたら、幾島(松坂慶子)が「ご立派になられた天璋院(宮崎あおい)様のお姿を目に焼き付けて下さいまし」と言う台詞があり、妙な違和感が残った。幕末に「目に焼き付ける」という語法あったろうか?
やきつける 【焼(き)付ける】
(1)焼いた金属などを押しあてて印をつける。焼き印を押す。また、太陽などの強い熱線が照りつける。
「酒樽に印を―・ける」「じりじりと―・けるような日差し」
(2)いつまでも消えない強い印象を残す。
「目前の光景を心にしっかりと―・ける」
(3)写真で、印画紙にネガを重ね、光線にあてて陽画を作る。プリントする。
(4)陶磁器に絵や模様を描き焼いて付着させる。
(5)とかした金属を使って、金属と金属とをつける。また、めっきを施す。

台詞は当然、(2)の意味で言われているわけだけれども、(1)の比喩としたら不自然だ。焼き印を押すように目に焼き付けたら失明してしまって表現として拙いだろう。有り得ない比喩的表現だ。(4)も(5)も同じ理由で拙い。
そうすると、残ったのは(3)写真との連想で使われた表現と見るのが自然に感じられる。目はカメラアイ、その奥にフィルムがあるという発想で使われだした比喩的表現としか思えない。写真用語百科・写真用語集にも、
フィルムに焼き付ける、という表現から、目に焼き付ける、という表現が生まれたのではないだろうか?
とある。
同じように「脳裏に焼き付ける」という表現も脳そのものをフィルムに喩えた表現だろう。
幕末といえば、やっと写真が入ってきて徳川慶喜とか坂本龍馬の写真も残って入るけれども、まだ物珍しかった頃で、そもそも「写真を焼き付ける」なんて技術的な発想が比喩として使われるほど一般に流布していたとはとても思えない。
確かなことは分からないが、かなり微妙な台詞ではある。
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