ツバルの水没は海面上昇が主因ではない

フジテレビ「報道2001」で石原慎太郎都知事が、水没が危ぶまれているツバルを訪れたビデオをまじえ、地球温暖化問題を熱っぽく語っていたが、いつも思うのだが、そもそもツバルの問題で海面上昇はマイナーな原因で、主因は別にあるだろうということだ。
海面上昇は確かに長期的に見れば水没の原因の一つであることは間違いない。しかし、一部報道ではこの10年で30センチほど沈んだとされているが、理屈から見ておかしい。年間5.8ミリペースなのだから平仄が合わない。この100年でも30センチ程度だろう。
石原知事は地球の遠心力が赤道付近が最大になるから余計に海面上昇が大きくなると言っていたが、遠心力効果は何も海面上昇が始まってからの話ではなく、元々赤道付近は、遠心力で海面が膨らんでいる。そりゃ海水量が増えた分、遠心力効果も増大するが、地球全体の海水量から考えれば無視してよいほどのものだ。
では、他に原因があるのかと言えば、そもそもツバルをはじめ、水没が懸念されている島々で共通しているのはサンゴでできた環礁であることだ。
サンゴ礁石灰岩だ。そして石灰岩は水に溶ける。特に水溶液の二酸化炭素濃度が高くなるほど,石灰岩の炭酸カルシウムを多く溶かすことができる(石灰岩の溶食)。
ツバルでは島の中のあちこちから海水の混じった地下水が噴出する状態だ。つまり、地下の石灰岩が侵入した二酸化炭素を含んだ海水で溶解しているのが主因だと思う。
サンゴ礁は元々多孔質で水を通し易い。海水が地下に浸水して石灰岩を溶かすのは鍾乳洞を考えれば容易に想像できる。島の土台そのものがスカスカになり、言わば島全体が骨粗鬆症状態なのだ。すると、島の重量でスカスカ部分が押し潰され、地盤沈下する。以下ループだ。
では、地球温暖化は関係ないかといえば、関係はあるだろう。それは海面上昇よりも、むしろ海面水温の上昇によるサンゴの白化現象が大きいと思われる。つまり、サンゴが死に、サンゴ礁の再生産ができなくなって、容易に地下に浸水できるようになったことだろう。現実にツバルの海岸も浸食が激しいという。言ってみれば、再生力を失った死んだサンゴ礁の死体にアリが群がって食い潰しているようなものだ。
そうでも考えなければ、ツバルだけなぜこんなに異常高潮が頻発するのか説明できない。ところが、伝えられるのは海面上昇ばかり。サンゴ礁の再生を考えなければどうにもならないだろう。安易に海面上昇のシンボルにするのは事実を誤らせて対策を誤らせることになりかねない。とは言っても、サンゴ礁を再生すること自体大変で、結局どうにもなりそうにないのだが。
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