北極の氷が溶け南極の氷が溶けない幾何学的理由

テレビ朝日開局50周年「地球危機2008」を4時間ぶっ通しで見ていると、北極海の氷が消えることは強調されていたが、グリーンランドや南極の氷は何も言及されていなかった。というわけで補足説明を考えてみる。
まず北極の氷。当たり前だが「氷山の一角」という諺通り、氷の90%は海中に沈んでいる。ということは二次元(面)的に海水と接触していると言っていい。一方の浮かんでいる10%は二次元的に空気に接している。ところで水は空気より20倍熱伝導率が高い。ということは地球温暖化北極海の氷が溶けるペースをAとすると、
A=0.9×20+0.1=18.1
一方でグリーンランドや南極のように陸地の上に氷が乗っかっているので、海水とは事実上海岸線でしか接しない。接触するのは面だが、全体の大きさから見れば事実上一次元(線)的にしか接しない。ということは海水からの熱伝導は事実上限りなくゼロと考えてもいい。
とすると、残りは空気との接触だが、大雑把で表側のみの半分として、0.5だ。しかし、これも大甘で北極海の氷は体積に対する表面積が陸の氷より大きいので実際には相対的にもっと低いはずだ。これは海中に隠れている氷の部分も同様だ。しかし、一応、妥協する。
すなわちグリーンランドや南極の氷が溶けるペースGA
GA=0.5
くらい。実に北極海の氷の36分の1の計算になる。
まあ、アルベドとか海面の間接的影響とか、他の要素は抜いているので、こんなには極端にならないと思うが、海水は地球表面の熱交換の主役なので、その違いは圧倒的だろう。
じゃあ、北極海の氷がなくなっても、グリーンランドや南極の氷は溶けないかと言えば、そんなことあるわけもない。北極海の氷がなくなるということは、地球にあるエアコン3台のうち1台が故障して使えなくなったに等しい。熱は熱いところから冷たいところへと伝わるので、残りのグリーンランドや南極への負担が大きくなるのは想像に難くない。温暖化は北極圏で特に大きいので、グリーンランドがまずイカレそうだ。やがてグリーンランドに大雨が降れば、空気の20倍熱伝導率が高い水に接触する機会も増えるので加速度的に溶解が進むだろう。
しかし、そうなっても「まだ南極があるじゃないか」なんて暢気に考える人が必ずいるはずだ。しかし、これも時間の問題だろう。現実に近年、滅多にない南大西洋熱帯低気圧が発生した。赤道から南に下る熱帯低気圧が南極へ熱を運び、熱くなり過ぎて行き場がなくなった温かい海流も南極目指して南下し、南極周辺を回っている海流に擾乱を起こすだろう。
また気温の上昇によって氷の昇華が加速されるので、溶ける前に氷が痩せ衰える可能性もある。となると、つるつるの表面がしなびて表面積が増し、より熱伝導が促進される。また湿気が増えて積雪が増えても温かい雪なので昇華しやすい。
こういう現象はこれから起こるのだろう。テレビ的には今現在起きていることの方が絵になるからだろうけど、近未来にまで注目してほしいものだ。
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