投機マネーにGOサイン出した日銀総裁

NY原油、一時127.82ドル・最高値(日経) WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の6月物は前日比2.17ドル高の1バレル126.29ドルで終えた。一時127.82ドルまで上昇し、過去最高値を更新した。 ゴールドマン・サックスが今年下半期の平均原油価格の見通しを1バレル107ドルから141ドルに引き上げたことが買いを誘った。
もう原油価格も食糧価格も天井知らず。しかも株価まで回復基調で全面高の様相だ。その根拠をたどれば日銀のメッセージと思われる。
(5/13)日銀総裁、米経済に懸念・金融政策「中立スタンス」(日経) 従来の利上げ路線から特定の方向性を示さない中立姿勢への転換を言明した。白川総裁は国内景気が減速している要因として「エネルギー・原材料価格の上昇による実質所得の減少」を挙げた。その上で「物価が上昇していても、金利を引き下げることが必要な局面もあり得る」と述べ、景気の悪化には利下げも排除せずに柔軟に対応する姿勢を表明した。
このような方針転換は以前から言われていたことだが、物価が上昇しても金利引下げもアリ、などとメッセージを発すれば、世界は「もはや利上げ当分、絶対無い」と確信し、世界で一番低い日銀の政策金利0.5%をデフォルトにして投機マネーを運用することができる。ただ同然で資金を調達できるので再びリスクを取るようになる。白川方明総裁のメッセージは「どうぞ皆さん安心して投機に励んでください」とGOサイン出したようなものだ。日本の物価がいくら上がっても金利は引き上げません。投機マネーは金利の低い日本で調達し、どんどん円キャリー取引して原油でも穀物でも何でも上げて結構です。上がっても金利引き上げませんので、と言っているのと同然だ。
白川方明氏の日銀総裁の就任で超低金利状態の金利を上げるのか、戦々恐々としていた世界の投資家は、これで安心して運用を積極的にできるようになった。その結果、日本は自分で自分の首を絞める結果になろうとしている。これで世界的な第二のバブルが用意され、同時により強力な第二のバブル崩壊も用意されたことになる。
池田信夫氏は「いま世界的に起こっているインフレはマネタリーな現象ではなく、天然資源の価格上昇というリアルな要因が各国に「輸出」されたグローバルな現象であり、一国の金融政策ではコントロールできない」(池田信夫blog:インフレ目標の失敗)と述べているが、いくら原油や食糧などが「リアル」であっても、当然ながらその価格上昇は金融に左右されている。株価や為替や国債がリアルでなく、天然資源がリアルなどという分け方は投資家にとっては無意味なのだ。
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