実質8対1の圧倒的多数で利下げした日銀

日銀、0.2%利下げ 決定会合4対4、総裁が裁定(日経) 今回の利下げは政策委員8人のうち賛成4人、反対4人の同数となり、最終的に議長の白川方明総裁が決めた。
これだけ読むと、金利据え置き派、利下げ派が拮抗して白川総裁が苦渋の決断をした印象だが、実は金利据え置きを主張して反対したのはたった一人だけ。
実際には政策委員のうち0.3%に引き下げに賛成したのは4人+白川総裁最終決断(実質空席の1人分穴埋め)、据え置きを主張して反対したのは1人、残りの3人は「0.3%では反対、0.25%にすべきだ」と利下げ幅に難色を示して反対した。
つまり、9人中(白川総裁2人分)、8人分は利下げそのものに賛成していたことになる。いずれサイド記事で内訳は明らかになるんだろうけれど、大抵の人はそこまで読まないだろうから、メイン記事だけだとあたかも賛否両論拮抗して揉めに揉めた上での白川日銀総裁の苦渋の決断のように印象付けされてしまう。これって事実上の印象操作だろう。
例によって、外国系メディアのロイターだけが最初から詳細を報道している
決定に反対したのは須田美矢子審議委員、水野温氏審議委員、中村清次審議委員、亀崎英敏審議委員の4人だったが、白川総裁は決定会合後の会見で、このうち3人は0.25%への利下げを主張したことで反対に回ったことを明らかにした。1人は現状維持だった。
多分、「1人」とは水野温氏審議委員だろう。この8対1という様式は実は1年以上前に、
超低金利政策と超少数意見の格差解消問題」で、
水野委員の超低金利政策批判は依然、1:8で圧倒的に超少数意見であるということ。この格差は日米金利格差よりも深刻だ。
もちろん、他の8人は情勢(空気)さえ変われば、あっと言う間に右に倣えで、実質1:1なのが微妙にアレなのだが。
こういう1人だけ異論を唱える人をグループに入れておけば、刺激になって議論が活性化するなんて社会心理学的な話はよく聞くが、でも、日本の場合、どうも外部向けガス抜きになってしまい易いところが、極めてアレだ。

と書いていて、要は平行移動しただけで茶番はちっとも変わっていないことが数字的にも立証できた。それにしても、0.05%渋ったから反対が3人ってあまりの茶番に呆れる。一種の偽装工作じゃないか。
会見で、朝日新聞記者がアラン・ブラインダーを引き合いに出して、中央銀行が市場に追随すれば、犬がしっぽに振り回されることにならないか、と皮肉る質問していたが、白川総裁はそれらも総合してデリケートに決めたとか答えていた。確かに0.05%の差で揉めるというのはデリケートではあるが、揉める日銀政策決定会合の時には最終的にきっちり8対1の原理が生きているのはそれ以上にデリケート過ぎる。
いつものように「国際金融の不安定」が利下げ決定理由に挙げられ、今回のデリケートな利下げを白川総裁は中央銀行は市場とは別に中長期的に金融の安定を図るためと言っていた。しかし、先進国間の「金利差の罠」が金融を不安定にしている以上、言うことと裏腹にこのデリケートな利下げは金利差縮小に逆行し、中長期的に金融の更なる不安定化にデリケートに貢献するだろう。
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