ボディ・ジャック

bodyjack公式サイト。光岡史朗原作、倉谷宣緒監督、 高橋和也柴田光太郎安藤希、星ようこ、重泉充香、浜田学。この映画に言わせれば、今回の元厚生事務次官連続襲撃事件、いわゆる年金テロ事件も、ボディ・ジャックのためだと思われる。何しろ、原作者は秋葉原事件もボディ・ジャックのせいと言っているようだから(破壊屋:ボディ・ジャックの真実)。実際、この物語は幕末四大人斬りの1人土佐藩岡田以蔵(浜田学)という言わば天誅の幕末テロリストまでが登場し、正に時空を超えたテロの連鎖を描いている。
物語は幕末の志士の人斬り、1960年代末期の大学紛争闘士の内ゲバ殺人、そして一気に1990年ごろの通り魔殺人へとホップ・ステップ・ジャンプする雄大過ぎるストーリー展開。
思い出されるのは、1969年の勝新太郎(岡田以蔵役)、石原裕次郎(坂本龍馬こと坂本直陰役)、仲代達矢(武市半平太こと瑞山役)の豪華競演+三島由紀夫出演の「人斬り」。「ボディ・ジャック」では武市半平太(柴田光太郎)が切腹するシーンがあるが、「人斬り」では薩摩藩士の田中新兵衛(三島由紀夫)が切腹するシーンがあった。当時、三島事件の予行演習とも言われたいわく付きのものだったが、この映画もちょうど同じ1969年の大学紛争から始まるのは偶然ではないだろう。だからこそ、映画でもついでで良いから、1970年の三島事件も挿話に入れて欲しかった。三島由紀夫のボディ・ジャックなんて、ちょっと重たすぎるかもしれないけれど。
ちなみにタイトルは訳せば他人をハイジャックするという言わば憑依。ただ、寄生した者と宿主が会話するというのが特徴。主人公テツ(高橋和也)は世を改める気持ちが備わっているからと武市半平太に憑依されるのだが、高橋はどちらかと言えばプロレスラーの志士・三沢光晴に似ているから憑依されたとしか思えない。
デジタル撮影でフィルムが存在しないという、まさに幽霊ぽい映画。時折、画像が粗いなあ、と思ったけれど、この世とあの世の境目を描く効果狙いではなかった。単に予算不足でフィルム化できないためのようで、そのために上映館も限定されるとか。妻役の星ようこが20年前の若い頃もセーラー服姿でこなしているのは、人件費節約かと思うと泣けてしまう。
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