池田信夫blogと北朝鮮との類似性について

池田信夫さんは自身のブログで、「政府の正式発表でないものは完全なフィクションである」と述べられておられます。とうとうここまで来たかという印象はありますけれど。
官僚たちの夏より。

このドラマは冒頭に出てくる「国民車構想」からして完全なフィクションだ。通産省がそんな事業を推進した事実も、そういう自動車が試作された事実もない。むしろ自動車は、失敗だらけの産業政策の中で役所が干渉しなかったから成功した数少ないケースだ、というのがポーターなどの評価だ。

これは「完全なフィクション」ならぬ「完全な誤り」なので、私は親切心から「フィクションじゃない」とコメント欄で指摘してあげたら、逆ギレして

Re: 国民車構想 (池田信夫)
2009-07-06 20:35:29
ウィキペディアの拾い読みで、いい加減なコメントをするな。その記事にさえ、これは日刊工業の「飛ばし」記事だと書いてあるだろ。
「国民車」という言葉は、ヒトラーVolkswagenを連想させるので、通産省は使わなかった。トヨタのパブリカがpublic carという言葉を使ったのが、ほぼ唯一でしょう。

なんて言ってきた。私も少々カチンと来たので、「拾い読みすらせず出鱈目書くな。正式発表しなかったら完全なフィクションて噴飯物云々」と返事したのだけれど、もちろんこの部分はコメント欄に反映されてません。
池田さんは、ケアレスミスとか単純な計算間違い、誤字脱字程度なら素直に訂正に応じるのですけど、エントリーの本質に関わる誤りには訂正しないようです。このエントリーの本質は通産省ひいては現在の経済産業省の産業政策を腐すのが第一目的で、どうしても「自動車は、失敗だらけの産業政策の中で役所が干渉しなかったから成功した数少ないケース」という物語に仕上げなければならず、それに反する事実は排除しなければならないんです。その必死ぶりは失笑物なのですけど。ちなみに、

ヒトラーVolkswagenを連想させるので、通産省は使わなかった。

というのも嘘八百で、単なる思い込みでしょう。もちろん、国民車構想が完全なフィクションというのも、池田さんが「拾い読み」程度の下調べすらせず、思い込みで書きなぐった産物です。
その後のコメント欄で、

非公式の「構想」はあったようですが、「発表された」は間違いです。そういう政府のプロジェクトは実施されなかった(だからポーターが評価している)。それに佐橋は自動車課長をやったことはないので、第1話は完全な作り話です。
政府は「国民車」という名称も使っていません。すばる360やパブリカがそれに近いといわれましたが、これは通産省の仕様にもとづいたものではない。当時(1955年)すでに国産車は開発されており、別に政府御用達の車をつくる必要なんかなかったからです。このドラマは、時間軸を終戦直後と意図的に混同しています。

とか、

これは国会などでも話題になったらしいけど、最終的に通産省は発表もしてないし、予算要求もしていない。
だいたい1955年にもなって、試作車が壊れて社長が過労で死んだなんて、それこそ自動車産業をバカにした話です。当時すでにクラウンもダットサン(日産)も製造され、輸出もされていました。特にダットサンは「大衆車」として人気があり、タクシーにも使われていました。

などと、そんなこと最初から知っていたと言わんばかりに書いていますが、事実は、私に注意喚起されて大慌てで調べたんでしょうね。
大慌てだから所謂「拾い読み」もあります。

特にダットサンは「大衆車」として人気があり、タクシーにも使われていました。

てあるけれど、ダットサンは戦前から製造・輸出されていましたね。「タクシーにも」って、1955年当時、ダットサンの需要はほとんど「タクシーしか」なかったのが現実。ドラマを見た人は分かるでしょうけど、電気洗濯機、電気釜とあくまで一般家庭で家電が普及しつつあることが語られているわけで、同様に自動車も一般家庭に普及できないかと出てきたのが国民車構想なわけで、当時ダットサンさえ大衆車じゃなかったんですね。大衆車になるのは「マイカー」という言葉が普及した60年代あたりでしょう。
ちなみに、

国会などでも話題になったらしいけど

というのは実は私がコメントで教えたことの受け売り。こういうのをネコババというのか、居直り強盗というのか、盗人猛々しいというのかよく分かりません。もう笑うしかない。
ついでだけど、

佐橋は自動車課長をやったことはないので、第1話は完全な作り話です。

というのも笑っちゃう。小説は元々作り話だし、佐橋はあくまでモデルなんだから小説の都合上、自動車課長にもなりますよ。話が変わるたびに主人公が変わるのは拙いでしょ。こういう個所見ると、実は池田さん本当に国語感覚がずれているのかと思っちゃいます。
池田さんの日本語感覚が不自由なら、仕方ないのかもしれないけれど、

非公式の「構想」はあったようですが

なんて最初から知っていたら「完全なフィクション」て書けないですね。現実には当時の通産省の川原晃技官が構想をまとめ、柿坪精吾自動車課長に国民車育成要綱案の作成を命じたのだけれど、実在の官僚がまとめたという事実さえも「正式発表されない限り完全なフィクション」というのだからこの感覚は凄い。日本の官僚でさえ、こんな四角四面の屁理屈はさすがに言わないでしょう。官僚も顔負けです。
地球上でこんな屁理屈が通るのはいまや北朝鮮ぐらいなものでしょう。あの国では自国に都合の悪い地球上での事実はすべて存在しないか悪質な反北朝鮮キャンペーンで北朝鮮臣民には知らされていません。池田信夫民共和国の臣民も同様の立場であるみたいで気の毒な気はしますけど。
ちなみに池田さんがはてブを忌嫌う理由も分かりますね。コメント欄やトラックバックと違って自分で情報を制御できないメディアは敵なんですよ。時々はてなの社長さんに短距離ミサイル飛ばして圧力かけているみたいですけど、威力がないのか効いてないみたい(笑)。まあ、北朝鮮が外国からのラジオ放送に妨害電波飛ばしているのと似たようなものかと。
よほどメンツが汚されるのが怖いみたいで、この性格も情報統制する共産圏の独裁者そっくりだから、とにもかくにも面白い人であることは間違いありません。なにせ一応市場自由化論者ですから。
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