次世代スパコン論争で言い訳する人々
菅直人副総理兼国家戦略担当相は22日、NHK番組で、行政刷新会議の事業仕分けで大幅削減とされた次世代スーパーコンピューター開発予算に関し「政策判断は政治的に行う。科学技術分野は見直すことになるだろう」と述べ、概算要求を維持させる考えを示した。
2010年度概算要求で267億円の開発予算は事業仕分けで「予算計上見送りに限りなく近い削減」と判定された。作業を統括する民主党の枝野幸男元政調会長はフジテレビ番組などで「経済効果がきちんと説明されていたら、今の結論にならなかった」と政府の説明不足を指摘。「刺激的に判定したことが前向きの議論につながる」として、問題提起の意義を強調した。
ということで、次世代スパコンはめでたく復活しそうだ。それにしても、今日の午前中のテレビ番組見ていたら皆さん口がうまい。枝野幸男元政調会長は反論する専門家の意見を見て、「こういうことは仕分け委員には伝わっていなかった。もしあの場で説明を受けていたら、縮減にはなっていなかったろう」と変わり身が早い。そのビデオで話されていたことなど私ですら知っていたことだし、知らなくても、ちょっとネット検索で調べればすぐ分かること。全く言い訳がましい人たちだ。テレ朝「サンデープロジェクト」に出演した蓮舫議員に至っては、例の「2位ではだめなのか」と質問したのは、なんと「誘導尋問」でスパコンの意義を引き出すためだったという。誘導尋問だったら、相手にもっと自由に喋らせないと誘導尋問にならんと思うのだけれど。
コメンテーターの高野孟氏は最初「次世代スパコンというのは戦艦大和で大変問題だ」と池田信夫氏の受け売りみたいなこと言ったが、横にいた財部誠一氏が「実際に地球シミュレータを取材したんですけど、気候変動はまだ不十分で次世代スパコンにかかっている。新型インフルエンザのリレンザだってシミュレーションで出来た。今度の次世代スパコンは今までと次元の違うものだと分かった」と言ったので、振り上げた刀を下ろす間もなく黙ってしまった。
その池田信夫氏も最近のエントリーでは「戦艦大和」とはもう言わなくなった。
けれど、相変わらず、
基礎科学を政府が支援することは重要であり、科学的真理の探究に必ずしも実用的な成果は必要ない。しかしスパコンは研究の手段にすぎないのだから、費用対効果だけが問題だ。バカ高いハードウェアを買う予算をソフト開発(研究)に回したほうが合理的であり、調達先が国産メーカーである必要もない。
とか、
スパコン自体の是非ではなく、その調達方法です。早い話が、もし国際入札で富士通のスパコンが選ばれていれば、何の問題もない。ところが西さんの説明でも、富士通の設計(SPARC64の超並列化)では300億円以下のコストしかかからない。それがなぜ1230億円になるのか。ここが問題です。
(アゴラ)
などと実質的に前言を翻し、もっぱら国際入札を問題に絞り込んで一部撤退した。ところで、未曾有の最新スパコンに相場価格だの、国際入札なんて関係ないだろう。全く次元の違う話なのだから。相場が成り立つようなものというのは既製品であり、すでに古いんだけどね。
まあ、2年前の最初の記事の、
世界的には、TSUBAMEのようにPC用の汎用CPUを並列につないだグリッド・コンピューティングが常識で、地球シミュレータのようなベクトル・プロセッサを使った「大艦巨砲」型のスパコンは、もうつくられていない。
と暢気に言っていたころからは随分勉強したのだろうが、まだまだ勉強足りません、というか、この人、ちょっと勘所をつかむの下手なんじゃないか。自分に都合の良い記事ばかり拾い読みしているからだろう。
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