参院選違憲も柳腰判決
1票の格差:5倍は「違憲」7月参院選訴訟で東京高裁判決(毎日)
議員1人当たりの有権者数を比較した「1票の格差」が最大5.00倍となった今年7月の参院選を巡り、東京都内の有権者が「法の下の平等を定めた憲法に反する」として、都選挙管理委員会を相手取り、東京選挙区の選挙無効を求めた訴訟の判決で、東京高裁は17日、請求を棄却する一方、「違憲」との判断を示した。南敏文裁判長は「5倍前後の不平等状態が十数年継続しており、選挙制度を決める国会の裁量権の限界を超えている」と述べた。選挙制度改革に影響を与えそうだ。
参院選を巡っては、最大格差が6.59倍だった92年選挙について大阪高裁が93年に「違憲」、最高裁が96年に「違憲状態」とした例があるが、最高裁は6倍以下を「合憲」と判断してきた。一方で、最高裁は格差4.86倍の07年参院選を合憲とした昨年9月の判決で「選挙区の定数を振り替えるだけでは格差の大幅縮小は困難で、選挙制度の仕組み自体の見直しが必要」と指摘し、国会に抜本的な改革を求めていた。
南裁判長は「投票価値の平等は民主主義の基礎をなすものであり、国会もこれを損なわないよう配慮しなければならない」と指摘。憲法成立直後の旧参議院議員選挙法制定時の最大格差2.62倍を拡大しないよう「不断の配慮が必要だった」と述べた。
そのうえで、94年に「8増8減」、06年に「4増4減」の定数是正がされた後も、格差が5倍前後に固定されている現状に触れ「国会における格差是正の試みは事実上停滞しており、近い将来に具体的に是正される見通しは立っていない」と指摘。「是正措置が講じられなかったことは有権者を居住場所により差別することとなる」としたうえで「不平等状態の積み重ねの結果を考えると、5.00倍の格差は到底看過できない」と結論付けた。
ただし、「行政処分や裁決は違法だが、取り消しによって公の利益に著しい障害が出る場合は請求を棄却できる」とした「事情判決の法理」に沿って、請求自体は棄却した。
この判決も、途中までは格調高くても最後はお約束の柳腰判決。そもそも、
「行政処分や裁決は違法だが、取り消しによって公の利益に著しい障害が出る場合は請求を棄却できる」とした「事情判決の法理」に沿って、請求自体は棄却した。
なんて嘘八百だ。こんな格差のある状態で選挙した事実が「公の利益に著しい障害」なのだから。今年当選した参院議員全員が無効で失職したからと言って公の利益に著しい障害など出ない。出るわけがない。失職すると半数改選の3年後まで片肺飛行することになる。そして喜ばしいことに片肺飛行でもさして政治に弊害をもたらさないのは明らかだ。
実は「柳腰」というのは仙谷由人官房長官のオリジナルでもなんでもなく、仙谷長官が司法試験合格者だから分かるように日本の法曹そのものが柳腰の伝統を持っていることが分かる物事を先送りする作法なのだ。
実際に一票の格差を是正するには裁判所が選挙を無効と判決してくれないことには始まらないことは当の裁判所だって分かっているだろう。
しかし、仮に無効判決が出てそれが確定してもどうにもならない壁がある。他ならぬ日本国憲法だ。
参議院議員の任期は、6年とし、3年ごとに議員の半数を改選する。
この絶対原則を崩さない限り参院選抜本改革など無理無理。
Clickで救えるblogがある⇒