霞が関の情報兵糧攻め

性急な政治主導が招いた官僚たちの士気喪失/古賀茂明(経済産業省大臣官房付)

まず、菅首相が「空回り」した原因は、明らかに官僚をうまく「使いこなせなかった」ことにある。いざ有事において、官僚組織を迅速に動かすためには、現場に臨機応変に対応できるような権限を与える代わりに、責任は自分が取るという強い覚悟が、政治家には求められる。上の立場の人間が、「俺が全部責任を取る」という態度を示さねば、現場はなかなか思い切り動けない。
だが、菅首相が示した態度は、「とにかく情報を早く上げてこい。決めるのは俺だ。決めたらいったとおりにやれ。それができない無能者は承知しない」というものであったように感じる。そういわれれば、官僚としては、さまざまな情報を上げ、判断を仰ぐ。しかし、これだけの非常時に、現場の細かい情報を集中させても錯綜するだけで処理しきれるものではない。
「官邸、しかも総理本人に情報を上げ、そこでの判断を待たなければならない」となれば、どうやっても時間がかかる。官僚からみれば、「急げというくせに、官邸に上げたら時間がかかるじゃないか。われわれを信頼してやらせてくれればもっと進められるのに」という苛立ちと焦燥感が募るばかりである。それでいながら、「できなかったらおまえの責任だぞ」などといわれれば、あっという間に士気喪失である。

色々御託並べられているが、菅直人首相の退陣騒動に関し、古賀さんご本人は、昨日のテレビ番組でポツリと「このままじゃまるっきり以前の古い官僚主導政治に逆戻り」と言っていた。このままというのは菅おろしのなれの果てになったらという意味だ。
実際、谷垣禎一自民党総裁までが「一刻も早く退陣しなければ国益に反する」などと言っている状況なのだけれど、その原因は官邸に情報が上がらないからだという。普通に考えれば、官僚の職務怠慢と考えられるのだけれど、そう考えてはいけない空気が既に出来上がっているようだ。
あくまで官僚たちの士気を喪失させたのは、菅さんなのだという。普通に考えて官僚たちはこんな程度で士気を喪失するほどヤワじゃないだろう。当の古賀さんがテレビ番組で真逆のようなこと言っているのだから。
仮に菅さんが官僚に丸投げしたらしたで今度は「政治主導が機能してないから復興が進まない」と言われるのは目に見えている。物は言いようだ。
簡単に言えば、今の状況とは、霞が関軍が菅城をを情報兵糧攻めしているのだろう。もっと分かりやすく言えば、霞が関は震災被災者を人質に取って「降参汁」と迫っているのが実態だろう。
もっと簡単にまとめれば脱菅対脱官ということになる。現実はやっぱ単純で霞が関と永田町の学級崩壊なのだ。
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