枝野話法について

再稼働 尚早ムード 経産相「現時点で反対」(東京新聞)

枝野幸男経済産業相は二日の参院予算委員会で、関西電力大飯原発福井県おおい町)の再稼働について「現時点では私も再稼働に反対だ」と表明した。

これに対し、そそっかしい人がいて、
枝野経産相グッジョブ「滋賀県と京都府知事の理解を得られなければ、地元の理解を得たことにはならない」(宮武嶺)と絶賛している人までいた。
ところが、
大飯原発:再稼働は滋賀、京都両知事の理解前提…経産相(毎日)

枝野氏は「地元」の範囲について「どこかで線引きをし、ここの内側さえオーケーなら大丈夫とか、この外側は関係ないとすべきではない」と指摘。「原発により近く地形や天候などで(事故の)影響を受ける可能性の高い地域は、『地元』の要素が強い」と強調し、滋賀県京都府は「(大飯原発で)事故が起こった場合に影響を受ける可能性が高い」との認識を示した。
 ただ、枝野氏は「(地元の)同意という言葉は使っていない」とも説明し、政府は地元の「理解」は求めるが、手続き上は「同意」は必要ないとの認識を示した。いずれも福島瑞穂氏(社民)への答弁。(略)
嘉田由紀子滋賀県知事の話 地元の範ちゅうに入れていただいたのは一歩前進。だが『理解』がどういう意味なのか、もう一歩突き詰めて聞かせてほしい。1450万人の水源の琵琶湖を預かる知事として、事前同意を求める責務がある。

ちなみに枝野経産相福島瑞穂氏の「『同意』と『理解』とどう違うのか」という質問に「国語辞典を見てください」とも言っていた。
しかし、これは無理難題だ。なぜなら「東大話法」や霞が関文学は国語辞典に載っていないと同様、「枝野話法」も国語辞典開いても分からない。分からないからみんな苦労している。
枝野話法というのは今回が初めてではなく、「現時点では」というのは、あの「ただちに・・・・・ではない」の肯定形表現だ。
一般の「現時点では」の後に続くのは、「判断できない」とか「分からない」とか、保留の表明が続く筈だが、枝野話法では意見の表明が続くのが普通。一般的な雑談ではアリだけれど、政治家の公的発言では×な表現。
「同意」と「理解」との違いは、たとえ相手が同意していなくても「自分の説明に一定の理解を示された」という自分本位の「理解」で相手も理解したと恣意的に理解できる、というメリットがあるということ。アリバイ工作にはきわめて便利な言葉だと言うことは理解できる。
枝野話法のさらに淵源を辿れば、「枝野幸男民主党幹事長の税収をめぐる間抜け告白」まで辿り着ける。

マニフェスト作成時点で税収がこれほど落ち込むとは正直、想像できませんでした」

この「作成時点」という用法は「現時点」の過去形話法ということになる。
思えば、この枝野話法、先の第二次大戦の戦犯たちの言い訳とそっくりで、彼らも「当時の空気では、そうせざるを得なかった」話法の伝統を継承しているだけなのだ。
だから枝野氏が「現時点では」とか「ただちに・・・ない」、あるいはそれに類する表現を使った場合は「(現在の)空気では」と翻訳する必要がある。この用法はもちろん、国語辞典には載っていない。
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