維新の会支持率急落本当の原因は尖閣
フジテレビや同系列のフジニュースネットワーク(FNN)が、首都圏での「日本維新の会」に対する支持率を調査した結果、今月2日に14.7%だった支持率は、13日に9.4%、20日には4.8%と、下落傾向にあることが分かった。また、読売新聞が17日に行った世論調査では、同党に対する支持率は2%で、自民党(21%)や民主党(15%)を大きく下回った。今年7月から先月にかけて行われた一部の世論調査では、同党の母体である地域政党「大阪維新の会」の支持率が民主党を大幅に上回り、次の衆議院議員総選挙では少なくとも第3党になることが確実だ、という見方が出ていた。
当初、原子力発電所の再稼働に反対していた橋下氏が、突然「条件付きでの賛成」に転じたことで「信用できない政治家」という批判が高まっている。また「竹島(独島の日本名)を日韓共同で管理すべき」と主張したことで、極右派からは「国家観のない政治家」として攻撃された。「大阪維新の会」を母体とし、全国政党「日本維新の会」を結成するに当たり、既成政党に所属していた国会議員9人を迎え入れたが、目新しく実力のある人材というわけではなく、次の総選挙での当選も容易ではない「B級政治家」ばかりが集まった、と指摘する声も出ている。
一方、支持率低下の決定的な要因として「総選挙に向け自民党との連携を進めていること」を挙げる見方も出ている。無党派層の圧倒的な支持を得ている橋下氏が、極右的な政治理念を共有する自民党の安倍晋三・新総裁と、総選挙での連携を目指そうとしていることが、無党派層の反発を招いたというわけだ。
このことにようやく気付いた橋下氏は、自民党との差別化を宣言した。橋下氏は今月26日の記者会見で「安倍氏の政策とは、原発や消費税などをめぐって違いがある。政策が異なる以上、総選挙では戦わなければならない」と語った。
ここに書かれている要因分析よりも何よりも、一番大きな要因は中国による尖閣諸島を巡る反日暴動、脅迫的な動きだろう。直接的に橋下徹市長は尖閣問題について特段話題を呼ぶ大きなコメントをしていないが、尖閣問題がこの1カ月の間、メディアを占拠したことそのものが全てだろう。
日本維新の会は基本的に地方自治改革という極めてドメスティックがベースの政党なので、こうした外交・安全保障問題が一極集中的に注目を浴びると、どうしても影が薄くなってしまう。ほとんどこれだけが原因と言っても言い過ぎではないだろう。
さらに九月には民主党代表選、自民党総裁選があり、ただでさえ維新の会のトピックスが影が薄くなる。とりわけ自民党総裁選は尖閣問題がかえって幸いして自民党支持率回復に貢献している。
これらの要因と相俟って相乗効果で一気に「バブル人気」が破裂したとは言える。ただ、尖閣要因はいくら大きくても日本維新の会にとって一時的押し下げ要因になる可能性が高い。元々維新の会は、ベースになる地方自治改革による国政再建が目的なので外交・安全保障問題がアキレス腱になることは最初から分かっていた。そのために安倍晋三氏一本釣りも考えていたことだろうし、破裂したまんま終わるということは考えにくい。一番後回しにせざるを得ない問題が、ここに来ていきなり問われる羽目になっただけで、決定的なダメージとするのは早計だろう。
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