世界を意識しない日銀と日本文化

日銀が12日に利上げを見送ったのを確認するように[NY株価]史上最高値2日連続で更新となった。結局、ニューヨーク市場にとっての最大の懸念はサブプライムローンではなく、日銀が利上げするかどうかなのだと思えてくる。
やっぱりニューヨークの相場を押し上げている最大のエンジンは今や円キャリー・トレードなのだと思える。日銀は国内物価ばかり気にしているのか、気にしている振りしているのか知らないけれど、原油価格の上昇の影響やいつまでも安くないだろう中国製品の価格などを気にして、ひょっとして(8月じゃなく)7月に利上げするかもしれないとNYには一抹の不安があったと思うが、全く「型通り」の結果が出て安心して暴騰したのだと思う。
けれど、こんなことでは日銀発世界同時株高が続き、そのことは後々の反動が大きくなって日銀発世界同時株安につながりかねない。日銀は世界全体を見回して金融政策を遂行しているとはとても思えない。
世界全体を見ていないのは何も日銀だけじゃなくて企業だってそうだ。元々国外から導入した製造業は世界を意識せざるを得ないけれど、国内発の企業は意外に世界市場を意識していない。Espresso Diary@信州松本の斉藤久典さんは「地方の自立には、ファイナンスが必要。」の中で、
マクドナルドもコカコーラも、単なる商品ではない。それは思想なのだ」と村上龍は書いています。アメリカの巨大企業が強いのは、人種や地域による違いを乗り越え、その強みを外に向かって発揮したからだと思います。
と書かれているが、日本にだって「思想」と呼べるような食品はある。
例えば、牛丼の吉野家の海外店舗はいまだこんな程度。当該国の人を意識しているというより、在外邦人しか意識していないとしか思えない。今ではスシバーは世界の至るところにできているのに日本の大手回転寿司チェーンが世界市場を意識してグローバル展開するなんて話聞いたことがない。これらの一つや二つ、もうとっくにマクドナルドとかケンタッキーフライドチキンとかスターバックス並みに世界展開していても不思議じゃないと思うのだけれど。
日本の株式市場は円安メリットの恩恵受ける企業ばかりが上げ、内需株は不振だけれど、その根底には「国内だけ」という観念が強過ぎたのじゃないか。最近やっと化粧品メーカーなどが中国市場を意識し始めたけれど。まして「日本食で世界展開できる筈がない」という「型通り」が支配していたように思える。
「日本文化は日本だけ」という固定観念が強過ぎて、海外の日本食店に関しては日本の農林水産省がわざわざ「日本食認証制度」なんて考える始末。こんな余計なお世話してブーイングを浴びたのは記憶に新しいが、企業がさっさと世界展開すれば、それが世界標準と認識されるのになぜそうしないのだろう。
企業だけじゃない。メジャーリーグだって、日本の一軍選手として初めて野茂英雄投手が1995年にアメリカに渡った時、日テレ野球解説者の江川卓氏は「まあ、4、5勝程度でしょうね」とまるで暴挙であるかの如く言っていたことを思い出す。
あれから12年。野茂は両リーグでノーヒットノーランを記録し、イチローは年間安打数メジャー最多記録を破り、このたびマリナーズと5年契約 年俸総額約109億円となった。球界を代表する投手だった江川氏にして想像を絶する現実がある。
結局、官僚、日銀政策委員に限らず、マスメディアで影響力のある人も含めて思考パターンは官民問わず同じで「型通り」なのだ。そうした人たちのかもし出す空気で全て決まる――ということなのだろう。自分たちはとんでもない実力、影響力があるということも自覚できずに。
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