ザ・ムーン〜十二使徒化したライトスタッフ

the moon公式サイト。英語原題:IN THE SHADOW OF THE MOON。ロン・ハワード製作、デヴィッド・シントン監督、バズ・オルドリン、マイケル・コリンズ、デイヴ・スコット、ジーン・サーナン、ジム・ロヴェル、ジョン・ヤングエドガー・ミチェル。アポロ11号による人類初の月面着陸40周年記念ドキュメンタリーだが、ラストで元飛行士たちがアポロ計画陰謀論(捏造説・隠蔽説)にわざわざ反論しているのはある種サプライズだった。
淡々としたドキュメンタリーにアクセントをつけるためなのか、それとも40年を経てアポロ計画が神話化されつつあるということなのか。そもそも、この種のドキュメンタリーは月面着陸20周年の1989年にもアメリカのテレビ局がダン・ラザーの司会でやっていた。映画でも1983年に「ライトスタッフ」が製作されているし、テーマ自体は食傷気味なので、色物を入れるしかない事情もあるようだ。ちなみにこの、映画ではウォルター・クロンカイトが発射シーンの実況中継していた。
一番印象に残るシーンは着陸船が着陸するシーンではなく、着陸船が月面から離陸するシーン。着陸サイトを真下から映しており、キャンプサイトのように人がうろうろした後がよく分かる。日本の月周回衛星「かぐや」は発射の際に月面を覆った粉末を吹き飛ばしてできたクレーターを確認したそうだが、一部でアメリカ国旗は映されていなかったとか陰謀論のネタにされているようで、もはやアポロはその業績以上に陰謀ネタの方が優勢のようにさえ見える。
日本でも昨年末12月30日にテレビ朝日で放送されたビートたけしの禁断のスクープ大暴露!!超常現象[秘]Xファイル!! で、公開!!アポロ14号の宇宙飛行士エドガー・ミッチェル証言!!宇宙人は地球に来ている!?というコーナーがあり、ミッチェル元飛行士のインタビューをしていた。
本人はもちろん、アポロ計画陰謀論は否定していたが、ロズウェル事件以外にもUFO墜落事件は起きているとか、ペンタゴンに宇宙人遺体の資料があるとか言っていた。(これ、番組ではあまりツッコミされていなかったけれど、なぜなんだろう)
その番組に出ていた大槻義彦教授アポロ計画懐疑派の一人のようで、その疑問点は月の表面を覆う粉末に含まれるレゴリスに太陽風の作用で含有率の高いヘリウム3の研究が皆無に近いということだけれど、大槻教授は「地球上に自然には存在しないHe3」と言っているが、地球のマントルや大気中にも存在する。けれど、余りに希薄すぎて核燃料に使えないから、0.01 ppmという高濃度で含まれるという月のレゴリスをめぐってExtraterrestrial suppliesというプロジェクトがあるんだろう。アポロが持ち帰って分析されていないとしたら、彼らは単なる推定だけで夢の妄想プランに現をぬかしているんだろうか。
その宇宙人肯定派?のエドガー・ミチェルも含め、映画で何を言っていたかと言えば、「捏造だという人間の襟首をつかんでやりたい」「2人だけの秘密も漏れる。数千人の秘密をどうして守れるのか」などなど。あまり科学的証明に役立つことは言っていなかったが、彼ら自身が40年の歳月を経てもはや「天上人」になってしまい、神話化されてしまったことへの反発があるのではないか。この映画のキャッチコピーは「月に降り立った人類は12人」だが、いつの間にか彼らは十二使徒のような存在になってしまった。
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