山形浩生のヨタ話の与太話

Voice+ 食糧危機はヨタ話:山形浩生 影も形もない価格高騰 市況を見ている人ならご承知のとおり。じつは食糧価格も昨夏をピークにぐんぐん下がり、いまや2007年と同じ水準にまで戻している。たとえばタイ米は、2007年のほとんどを通じてトン当たり250ドルかそこら。それが2008年に入って高騰し、同年5月にはトン800ドルというピークに達したが、いまやトン300ドルといったところ。完全に元の木阿弥だ。商品によっては、まだ1年前に比べて高値を保っているものもあるが、一時の高騰ぶりはもはや影も形もない。
山形浩生君、はしゃいでないでちゃんと市況を見なさい。
Annual Oil Market Chronologyを見ると、1バレル=40ドルという現在の価格は1980年代の第二次石油ショック時のピークよりも少し高い。「100年に一度」という世界同時不況なのに石油ショック時よりも高いのだ。最近の石油価格の底はアジア通貨危機が起きた1997年で、1バレル=10ドルになっている。世界同時不況はアジア通貨危機よりはるかに世界的広がりのある大不況だから山形君の能天気頭で考えたら1バレル=5ドルくらいに低下していいんじゃないけ。でも現実はアジア通貨危機の4倍も高いんだよ。
そもそも石油が高くなり始めたと騒ぎ始められたのは昨年のことではなく2004年ぐらいからだ。昨年の高騰は投機筋の玩具にされたオマケのようなものなのだから、参考にならんことはど素人以外は分かっているはずなんだけどね。アジア通貨危機以降、9.11テロという想定外の事件を除けば、おおむね右肩上がりで上昇している。これは今後も続くだろう。今でさえ1バレル=40ドルなんだから。
それから食糧価格ね。ちっとも下がっていない。Corn Monthly Price ChartWheat Monthly Price Chartを見ると、現在のトウモロコシや小麦の価格は山形センセイの言われる通り、2007年レベルまで下がっている。だけど、2007年の世界の経済情勢と今の経済情勢とを比較すれば、トウモロコシ価格ももっと下がっていなきゃおかしいことになる。2007年でも高い。その水準と同じということは今も高いわけだよ。こんな経済情勢で2007年並みということは相対的には2007年より高いということになる。しかも、昨年12月からジリジリ高くなっている。
原油なら、たしかに不景気で需要が下がったなんてこともあるかもしれない。工場が動かない、車に乗らない、おかげで石油をみんな使わないというのはもっともらしい。だが、食糧は? 不景気でみんなが飯を食わなくなったなんてことがあるか? あるいは中国の需要にしても、インドの需要にしても、そんなに変動するわけがない。バイオエタノールは濡れ衣だったようだし、まして地球温暖化の影響が急に解消されるはずもない。ということは、そんな話は全部ヨタだったということだ。
おバカだねえ。だからそんなに変動するわけがないから大不況にもかかわらず、上昇トレンド変わっていないのだろうが。瞬間最大風速だけ見て、安くなった、安くなったと言ってはしゃいでいるのはど素人だけだろう。基本的に原油高、食糧高のトレンドはちっとも変わっていない。変わるわけないのだ。変わる要素なんて何もないのだから。
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