「無所属」というブランドをはびこらせる公選法

森田健作新千葉県知事が「完全無所属」と表明したことが公職選挙法違反にあたるのかどうか。
植草一秀の『知られざる真実』:森田健作氏公選法虚偽事項公表罪で当選無効か

千葉県知事選挙で当選した森田健作こと鈴木栄治氏が自民党から巨額の献金を受けてきた事実を指摘した。
 この問題に関連して、森田氏が公職選挙法違反の罪を犯しているとの重大な指摘が浮上している。


同:企業献金全面禁止提案が金権体質自民党を撃破

鈴木栄治氏が「完全無所属」を名乗りながら、自民党員の党籍を選挙時に保持していたとするなら、上記公職選挙法第235条の「虚偽事項の公表罪」に該当することは間違いない。

しかし、残念ながら公職選挙法第235条違反にはならないようだ。条文には、確かに、

「その者の政党その他の団体への所属、その者に係る候補者届出政党の候補者の届出」、「に関し、虚偽の事項を公にした者は、2年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する。」

とある。
「完全無所属」実は「自民支部長」…千葉知事当選の森田氏(読売)

千葉県知事選で100万票余を獲得して初当選した元衆院議員の森田健作氏(59)が、現在も東京都の自民党支部長を務めていたことがわかった。

とあったのを受け、
永瀬ユキのブログ:森田健作(鈴木栄治)は「完全無所属」と言いながら実際は「自民支部長」なので「虚偽事項の公表罪」になる

つまり、公職選挙法に違反していることが明らかになりました。

とされているが、総務省に電話で問い合わせたら、「違反ではない」という答えが返ってきた。ぶっちゃければ、知事選立候補届出用紙の政党記載欄に自民党公認証書なしに「自民党」と書けば、受け付けてくれない。森田氏は「無所属」と記したか空欄のまま提出したのだろう。
逆のケースとして、2005年の衆院選で刺客を送られ、自民党から公認証書をもらえなかった野田聖子氏は自民党から除名処分も受けず、自ら離党届も出しておらず、自民党員のままなのに、公認証書がないので仕方なく届出用紙の政党欄には空欄か「無所属」で届け出、「無所属」で戦った。
今もネットに「無所属・野田聖子氏、激戦制し5選…岐阜1区」(読売)となっている。
選挙戦では「自民党野田聖子です」と堂々と言っていた。事実、自民党員で、「自民党公認」とは言わなかったが。
つまり、「無所属」とは党員かどうか、自民党支部長かどうかにかかわらずあくまで当該選挙で公認されているかどうかだけが問題なのだという。公認証書なしに誰でも好き勝手に所属政党を名乗られると、収拾がつかないこともあるようだ。
今回の場合、森田氏が自民党支部長で、献金を受けていても、知事選立候補届出用紙の「政党欄」に「無所属」もしくは空欄で届け出れば、いくら森田氏が選挙戦で「完全無所属」をうたい文句にしても公選法違反の「虚偽事項の公表罪」にはならないという。あくまで公的な届出用紙に虚偽記載があるかどうかが問題なのだ。古賀潤一郎学歴詐称の場合、新聞のアンケートだったが、これは公職選挙法第148条違反だった。
そもそも公職選挙法には「無所属」という概念がないようだ。念のため、このサイトを文字検索したら「無所属」はなかった。
つまり、どの政党からも公認されていない候補者の俗称、あるいはマスコミ用語ということになる。森田氏が自民党の公認証書を受けていない限り、「無所属」と届け出れば、自民党員でも「無所属」なのだ。
しかし、こんなこと常識、通念から見れば、馬鹿馬鹿しい話だ。いくら公選法違反でなくても「完全無所属」、これ自体意味不明だけれど、有権者が誤解しても仕方がない。
報道するマスコミ側に問題がある。マスコミ独自に公認、非公認にかかわらず所属政党名をアンケートし、その際にも「無所属」と書けば、公職選挙法第148条違反に問えるはずだ。公職選挙法そのものも、届出段階では公認証書頼みは致し方ないかもしれないが、それ以外のネットを含む文書や発言で所属政党を偽ることを公表すれば、選挙後でも公選法違反に問えるように改正すべきだろう。
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